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斐伊川に流るるクシナダ姫の涙

プロローグ

まるで、大蛇が獲物を呑みこむような光景だった。
堤からあふれ出した泥水は集落に達して、家々を押し流していく。人々の暮らしが自然の大きな力によって無慈悲に破壊されていく様子を、クシナダ姫は無力感に苛まれながら眺めていた。

あらすじ

日本という国が生まれた頃の話。気温上昇によって災害が多発するようになる。クシナダ姫と七人の姫たちは各地の自然の脅威を体験しながら、災害対策と自然の力を利用する術を学んでいく。若い女性たちを生贄として捧げることで荒ぶるオロチを鎮めようとする人々と、現実的に水害を減らそうと努力する姫たちの相克を描く。

『ヤマタノオロチ』という有名な神話と、気候変動による災害激甚化というクライメート・フィクションが融合した歴史ファンタジー。クシナダ姫は転生を繰り返し、七人の姫たちの犠牲の上に気候変動による自然災害に立ち向かいながら、人間の暮らしと折り合いをつけて自然の力を利用する術を学んでいく。

289文字

第一話:糸魚川の翡翠と鉄の女王

第二話:信濃川を望む墳丘の墓標

第三話:神通川の流れを包む

第四話:手取川を取り巻く河畔の森

第五話:九頭竜川の暴れオロチ

第六話:千代川の砂を生むもの

第七話:日野川と国引き

第八話:斐伊川に流るるクシナダ姫の涙

#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門

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