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阪神タイガースを変えた2013“神ドラフト”

2023年ペナントレースも大詰め、我らが阪神タイガースは18年ぶりのアレに向かってマジックを減らしつつあります。今年就任した岡田監督の手腕もさることながら、その中心にはドラフトによって獲得した球団生え抜きの選手たちの活躍が目立ちます。

阪神タイガースの暗黒時代

阪神タイガースは2003年に故星野監督の下、セ・リーグ制覇するまでは最下位が定位置の弱小球団でした。1985年の日本一翌年から2002年までの17年間で最下位の6位を10回も経験するなど、まさに暗黒時代と呼ばれる体たらくでした。当時の阪神タイガースでは、「バースの再来」として大枚をはたいて獲得した助っ人外国人が機能せず、球団の金庫を開けてFA戦線に参戦しては大物選手から断られるといった状況でした。

2003年の故星野監督そして2005年の岡田監督によるリーグ制覇からは、常に上位を争いながらもなかなか勝ち上がれないジレンマを抱える状況でした。岡田監督以降も、真弓監督や和田監督など球団OBのスター選手だった人たちが指揮を執るも、暗黒時代と同様の外国人助っ人やFA中心の補強下手な球団体質は変わりませんでした。

ドラフト重視の選択をした球団

2013年中田・鶴岡、2014年金子・中島・成瀬など、獲得を目指したFA選手たちに断られるとともに、2008年野口、2009年藤本、2012年平野、2013年久保、2017年大和と毎年のようにFAでの戦力流出が続いていました。少なからず日本一になりたいといったモチベーションでFAする大物選手たちにとって、阪神タイガースという球団が魅力的に映らなかったのは明らかです。

一方で2010年代から変化しはじめたのが、阪神タイガースのドラフト戦略です。FAや外国人補強に期待できないのであれば、生え抜き選手を育成していくしかないという消極的選択だったかもしれませんが、それまで大卒・社会人を中心に無難な候補者を指名していた方針から、ポテンシャルの高い高校生や一芸に秀でた面白い選手をドラフト下位で指名するようになります。代表的なのが青柳投手(2015年5位)や糸原選手(2016年4位)であり、中でも最も結果を出したドラフトが2013年なのです。

ドラフトは10年経たないと評価ができない

2013年からちょうど10年後の2023年、首位を走る阪神タイガースの中心にいるのは2013年ドラフトによって指名された選手たちです。岩貞祐太投手は、2度抽選を経た外れ外れ1位でしたが、いまでは勝利の方程式に組み込まれたベテラン左腕です。梅野隆太郎捕手は、主力捕手として投手陣を引っ張るも、死球による不運な骨折により休養を余儀なくされています。岩崎優投手はシーズン途中から守護神として定着し、絶対的な存在として試合終盤を支配しています。

実は他球団で2013年に指名された選手たちも阪神タイガースでは活躍しています。加治屋蓮投手はソフトバンクホークスの1位指名でしたが、2020年に阪神に移籍し今では強力リリーフ陣の一角として無くてはならない存在です。渡辺諒選手は日本ハムの1位指名から、2023年にトレードで新加入し右の代打として多く起用されてきました。このようにドラフトから10年経て、他球団の指名選手も併せて阪神タイガースの主力に数多く定着しています。

2016年~超変革は成功した

2016年金本新監督が鳴り物入りで就任した際に掲げられたスローガン「超変革」は、これまでのベテラン偏重によるシーズン終盤の息切れを鑑みて、若手選手の積極起用し送りバント等の手堅い戦術を執らずに盗塁やエンドランを重視する新しいチームにつくり変える戦略として注目されました。矢野前監督を経て、当時の若手選手たちが安定した主力に成長し、円熟した戦術眼を備えた岡田監督が就任したことで、超変革の果実が成ったのが2023年でしょう。

打線の核である4番大山選手や不動のリードオフマン近本選手、現役ドラフトで加入した大竹投手、今年大ブレークの村上投手など、MVP候補にも目移りする嬉しい悲鳴な状況です。歓喜のアレに向けて、否が応でも盛り上がる幸せな阪神ファンの1人として、この10年の選択に感謝したいです。

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