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阪神ファン、エスコンフィールド北海道に行く

「Boys be Ambitious(少年よ、大志を抱け)」と言ったクラーク博士、その言葉が発せられたのは北広島市にある旧島松駅逓所です。そこからほど近い場所に、北海道日本ハムファイターズの新たな本拠地・エスコンフィールド北海道が造られました。

折しもプロ野球セパ交流戦で、我らが阪神タイガースがこの地で戦うため、勇躍乗り込んできました。プロ野球ファンのみならず、観光客や地域住民が気軽に利用できる地域密着型のボールパークという大志を実現した理想郷を体験してきました。

阪神ファンから見た新球場の評価

阪神タイガースはご存知のように聖地・甲子園を本拠地としており、1924年から来年で開業100年を迎えます。春夏の高校野球選手権大会にも使われ、全国の野球少年たちの憧れの地となっています。観客動員数では12球団随一の人気を誇り、とくに2023年現在は首位を快走している中でオールスターファン投票ではほぼすべてのポジションで1位となっています。

日本一の本拠地を持っていると自負する阪神タイガースファンにとって、エスコンフィールドはどのように映ったのかを以下説明していきます。

球場へのアクセスは悪い

エスコンフィールド北海道は、最寄りのJR北広島駅から約2km徒歩20分程度かかります。すぐ横に線路が通っており、ここに「北海道ボールパーク駅」という新駅を設置する計画も出ていますが、現状は先行き不透明となっています。最寄りの北広島駅の他、新さっぽろ駅や野幌駅までバスが出ていますが、ゲーム開催時には行列と渋滞で1時間以上待つといった状況で混雑に対応できていません。

エスコンフィールド北海道の球場入口

オーナーが鉄道会社である甲子園とは比較するのも可哀想ですが、せっかく新球場を建てるのであれば交通アクセスの問題もちゃんと対応してほしかったというのが、実際に往復20分ずつ北広島駅まで歩いた身としては思います。とくに雨天や寒い時期には、この距離をトボトボと歩くには寂しすぎるので、何かしら対応してもらいたいですね。

周辺環境は抜群に良い

球場へのアクセスとトレードオフの関係となる周辺環境は、ゼロから設計開発しただけあって抜群に良いです。隣接する高校や市民体育館と連動した運動公園としての機能を取り入れつつ、全国の人気店の味が楽しめるフードコートや、子どもたちが安全に遊べるキッズパークを整備するといった、オフシーズンでも家族連れで遊びに来れる場所としての配慮が感じられます。

野球ファンと地域住民の憩いの場

この北広島という土地は札幌と千歳の中間にあり、広島からの開拓民が多く住んだために北広島と名付けられた経緯があります。千歳周辺ではラピダスなど新たな企業誘致が進んでおり、またちょっと足を伸ばせば支笏湖など自然環境にもアクセス容易なので、住みよいエリアとして人気が出そうです。

最新鋭のエンターテイメントを導入した球場

エスコンフィールド北海道の球場内部は、グラウンドと観客席の距離が近く、また間にあるネットの目が細かいせいか臨場感溢れる観戦体験ができます。座席はクッション性のある広いシートで、とても座り心地が良いです。国内最大の大型モニターには、試合進行や選手の詳細データが随時映し出され、様々な演出が工夫を凝らされて表現されています。

また、きつねダンスをはじめ、ファイターズガールズによるインターバルの踊りは相手チームのチアと一緒になって盛り上げてくれます。今年はジンギスカンやしゃけまるといった新しいダンスも出てきており、無尽蔵とも言える北海道のコンテンツを存分に活かしたエンターテイメントがそこにはありました。

国内最大のモニターが左右両面に設置
しゃけまる弁当

甲子園も胡坐をかいていられない

今年はWBCで全国的に野球が盛り上がり、プロ野球を初めて観戦するといった人も増えていることでしょう。そこで初めて甲子園の阪神タイガースの試合に訪れたとすると、戸惑ってしまう面も多いのではないでしょうか。熱狂的とも威圧的とも言われるライトスタンドの応援は、声出しが復活した今シーズンはさらにボリュームが増しているように聞こえます。

また他球団、とくに読売巨人軍に対する侮蔑的なコールや野次は、子どもたちを連れて観戦しに行きたくないと思ってしまいます。熱心に応援するのは非常に結構なことですが、選手や相手チームのファンに対するリスペクトはちゃんと持ってもらいたいですね。近年は女性ファンも増加しているので、怖いと思われないような作法は必要に思います。

阪神二軍で進む次世代のボールパーク構想

そんな我らが阪神タイガースも、着々と地域密着型のボールパーク構想を進めています。現在鳴尾浜にあるファーム拠点を、尼崎市大物駅前にある小田南公園に2025年に移転する計画が発表されました。尼崎市が国の脱炭素先行地域に選定されたこともあり、日本初のゼロカーボンベースボールパークとして整備される予定です。

阪神タイガースの一軍二軍が阪神沿線で活躍することで、さらに野球の聖地として盛り上がるでしょうし、憧れの選手たちが身近に感じられれば子どもたちも積極的に訪れるようになるでしょう。また阪神タイガースWomenのように女子プロ野球の取組みも楽しめると思います。

日本ハムファイターズは素晴らしい一軍本拠地を手に入れましたが、二軍拠点は千葉県鎌ケ谷市と距離的に遠くなっています。様々な政治的思惑もあって、この二軍拠点を早急に北海道に移すことはなさそうです。一方で我らが阪神タイガースは、一軍二軍が一体となって近接した場所で切磋琢磨することができます。沿線地域住民とともに、次世代のサステナブルなボールパークづくりを期待して良さそうですね。

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