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地方移住には自動車が必須だ

地方に移住したいという相談をしばしば受けるのですが、とくに都市部で暮らしている人には運転免許を持っていなかったり、ペーパードライバーの割合が結構高いです。観光や仕事でときどき地方に行く程度であれば必須ではないですが、移住となれば必須だと断言できます。

自動運転が期待できない理由

こういったシビアな話をすると、「あと5年もすれば自動運転が〜」とか希望的観測が聞かれます。自動運転の導入については私も期待している立場ですが、あと20年は難しいだろうと現実的な見立ても持っています。

自動運転にとっては、不確実性がもっともその実用を阻む要素です。田舎道のように、野生動物が飛び出し、凍結や落石のような路面状況の変化、天候によって一変する視界などはパラメータが多すぎて厳しい環境なのです。

とくに雪道は、路面と空や周囲の景色の境界が曖昧となり、また太陽光の照り返しで前方の視界がかなり制限されるといった状況が起こります。人間の眼のピント調節機能ほどはまだ自動運転のカメラやセンサは発達していませんから、ビッグデータの基盤となる画像の取込みが不十分となります。

電気自動車の致命的弱点

また普段からEVに乗っている立場として、政府が打ち出している2030年半ばにはガソリン車ゼロとする目標についても、性急な印象を持っています。まず急速充電インフラについて、現状の30分程度かかる40kWのものだと不十分に感じます。その点は基本的には自宅に200Vコンセントがあれば夜間充電して解決できるでしょう。

それよりもエアコン使用によってエネルギー効率がかなり変わるのが問題です。とくに冬場には、ガソリン車のように暖気運転が使えないために暖房をつけるとどんどん電池残量が減っていきます。最近でも高速道路で立ち往生するような豪雪被害がありましたが、EVの場合は数時間で電気がなくなってしまうことでしょう。

こういった意味合いにおいて、とくに雪国ではEVや自動運転といった先進技術を導入し、普及させるにはかなりハードルが高いと言わざるを得ません。現状、EVは太平洋側の大都市圏での日常用途に限られると考えています。

年始に山陰地方を500km走破してきた

実はこの年始に、山陰地方は兵庫県豊岡市から島根県出雲大社まで往復してきました。もともとは湯村温泉にワーケーションで滞在していたところ、爆弾低気圧による暴風雪予報で、飛行機が欠航となってしまったために延泊し時間ができたので、初詣に行くことを思い立ったのです。

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豊岡市旧日高町役場を改修した江原河畔劇場地方大卒を地元就職させる唯一の方法』で紹介した、芸術によるまちづくりの中核を担う地域住民のための劇場

3日間で50cm~1m程度の積雪があり、山間部ではかなり影響があったのですが、沿岸部を走る高速道路では除雪がしっかりされていて走りやすかったです。もちろん路面状況が悪ければ引き返す判断も持っていたので、寄り道しながら西に進んでいきました。

ちょうど首都圏では緊急事態宣言が出されたタイミングだったので、あまり人と会うこともなく自然環境を満喫する旅になりました。大山の雄大な景色や宍道湖に沈む夕日などを観ながら、道々にある温泉で小休止するような自由度の高い旅程は自動車がなければ成り立ちません。

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地方暮らしの自由度を担保する運転技術

こういった自由度はもちろん日頃から運転に慣れているから持てるのですが、普段都市部に住む人がいきなり雪道を運転したり、場合によってはスタックして抜けられるようにするにはそれなりのテクニックや知識が要ることでしょう。その意味では北海道の真冬を経験していたのが活きています。

とくに雪国に移住する場合には、一朝一夕にこの運転技術を身に着けられるわけではありませんから、自動車教習所などと連携した訓練コースを用意した方が移住受入れの際に役に立つことでしょう。中古車の流通やタイヤ交換といったハード部分とともに、免許や技術講習のソフト部分をちゃんとフォローできれば、移住の現実性はかなり高くなるでしょう。


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1977年シアトル生まれ。地域イノベーション企業家。林業合コン、棚田deセグウェイ等の過疎地ビジネスを経て、行政トップの右腕、大学教員と産官学を経験。犬猫が地域に生き残る寛容な社会を目指すネコウヨです。