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野次猫コラム

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頭の中の整理用。気の赴くまま徒然に書いています。
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記事一覧

なぜリベラルは負け続けるのか?

兵庫県知事選挙が投開票され、現職の斎藤元彦知事が不信任決議案からの出直し立候補で勝利し、県民から再任された形となりました。先のアメリカ大統領選挙では共和党トランプ前大統領が返り咲き、衆院選では国民民主党が躍進したように、世界的に見てもローカルでも政策的には右寄り・保守に映る候補者が相次いで当選しています。 一方で一人負けの様相を呈しているのが旧来の左派と呼ばれる陣営であり、兵庫県知事選挙の稲村和美候補や東京都知事選挙の蓮舫候補など、ある程度経験を積んだベテラン候補者を満を持

古き良きアメリカ≒プラグマティズムの終焉

アメリカ大統領選挙が実施され、共和党候補のトランプ前大統領が勝利しました。「Make Amrica Great Again」という言葉を連呼し、インフレによる物価高騰や貧富の格差拡大に苦しむ中間層の投票を集めた格好です。 一方で敗れた民主党候補のハリス氏は、むしろ自滅していったという印象です。貧富の格差に対する不満が高まっているのにテイラー・スウィフトやレディー・ガガといったセレブが登場して支持を表明し、多くの国民たちが望む経済対策については具体策が乏しいといった形で、有権

虚構と現実のシェアードユニバース 映画『ラストマイル』評

映画『ラストマイル』を観ました。塚原あゆ子監督、野木亜紀子脚本、新井順子プロデューサーという黄金タッグは、『アンナチュラル』『MIU404』とテレビドラマでヒットを飛ばしてきました。今回の映画は、巨大ECサイトの裏側の流通網が舞台であり、満島ひかりさん演じるエレナと岡田将生さん演じるコウという主人公に、『MIU404』『アンナチュラル』の登場人物たちが絡む“シェアードユニバース”作品として話題になっています。 あなたも私も加担している、ラストマイルの問題今回の映画のモデルと

阪神タイガースは交流戦をこの先生きのこることができるのか

いよいよプロ野球はセパ交流戦に突入します。例年、悲喜こもごもな展開が起こる中で、我らが阪神タイガースはいかに戦うのでしょうか。セ・リーグではかろうじて首位を守ったものの、打線は低調でリリーフ陣を中心に疲れが見え始めている、何ともテンションが上がりづらい状況です。 一方で昨年の日本一チームということもあり、パ・リーグ各球団も警戒してエース級をぶつけてくるのではないかとも予想できます。いったいどのようなマッチアップになるのかを予測しつつ、阪神タイガースがどれくらいの勝ち星を獲れ

神保町のシェア型書店[ほんまる]棚主になり見えてきた書店の未来

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にわとりという最高の家畜を巡る人間模様

最近、興味を持っているのがにわとりです。卵も鶏肉も食べられるもっとも身近な家畜として、いったいどのような進化を遂げてきたのか、あるいは人間社会とどういった関わりを持ってきたのか、その存在に魅了されています。 にわとりが先か、卵が先か?「にわとりが先か卵が先か」という慣用句はよく用いられますが、実際に鶏卵産業では1羽当り年間約300個もの卵を産みます。偶然にも、日本人1人が年間口にする鶏卵の数は300個と言われています。1日に1個のペースで、体重約2kgのにわとりが約60gと

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鈴木亮平がNetflixに出る意味

実写版『シティーハンター』が4/25よりNetflixで公開され、ドンピシャ世代として早速観てみました。いろいろなレビューを拝見しても概ね好評のようで、アニメ版に対する再現度の高さなどが話題となっています。 地上波放送のエースだった鈴木亮平主演の鈴木亮平さんは、NHK大河ドラマ『西郷どん』をはじめ、『 TOKYO MER』や『下克上球児』でも主演を務めるなど、いま最も売れている男性俳優の1人です。ストイックな役作りで知られており、映画『HK/変態仮面』では細マッチョで映画『

板橋チャーハンのすすめ

板橋チャーハンについて以前書いたときから、その熱狂ぶりは加速しているように感じます。休日ともなると、丸鶴や丸福といった有名店には行列ができています。常連客とは平日と棲み分けができているみたいですが、店主の高齢化も相まって不定期営業の店も出てきています。 家賃を払わないで半チャーハンを出すそもそもなぜ板橋区がチャーハンで有名なのか、それは町中華の隆盛と相関があります。板橋区には工場が多く、肉体労働者の集まる地域としてカロリー摂取できる町中華が数多く立地しました。東京23区のな

チームラボ・ボーダレスに見る、日本の勝ち筋

麻布台ヒルズにオープンした、「EPSON TeamLab Borderless」に行ってきました。9割方のお客さんが外国人で、インバウンド観光客が何を求めて東京や日本に訪れるのかを考察してみました。 花鳥風月という日本文化の蓄積こちらの展示では、主に鳥獣戯画のような動物たちの姿が自然のなかで躍動する姿が描かれていました。視覚、聴覚、そして嗅覚や触覚まで刺激する五感全体で体験する没入型デジタルミュージアムというコンセプトです。非言語的に体感できるのがポイントで、あらゆる国のあ

春と秋が短くなる、気候変動の現実

ようやく春らしい気候になり、桜も咲きましたね。早速愛犬と御嶽山に上って春を満喫してきました。今年は何だか2月頃にいきなり暖かくなったかと思ったら、3月上旬は一気に冷え込んで桜の開花が遅れ、いつもは真っ先に開花する東京の桜がつぼみのまま4月までずれ込んだ印象です。 春と秋が短くなっている気象庁によると、日本の平均気温は100年前に比べて+1.29℃となっており、とくに春は+1.62℃と他の季節(夏+1.25℃、秋+1.36℃、冬+1.24℃)に比べて変動幅が大きくなっています

エイプリルフールに思う、正直者が勝つ世の中になってきた理由

4月1日といえば、エイプリルフールです。しかし、これだけAIが発達した世の中になってくると、あらゆる文章や画像にフェイクが含まれていて、むしろ毎日が嘘つきを見分けるような状況になってきています。 アテンションエコノミーの罠有益かどうかよりも、関心度・注目度の高い情報にクリック数という経済指標が集まってしまうアテンションエコノミーにおいては、極端な言説だったり注目を集める動画・画像などが粗製濫造され、結果的に本当に有益な情報が埋もれてしまうといった状況になってきています。

21世紀の京都学派?欧米へのアンチテーゼとしての社会的共通資本とは

京都大学人と社会の未来研究院社会的共通資本と未来寄附研究部門特別シンポジウム『進化する社会的共通資本』に参加してきました。何とも不思議な内容で、まだ感想はまとめきれていませんが、とっ散らかった思考のまま書き残しておこうと思います。 社会的共通資本とは日本の経済・社会学者 宇沢弘文氏が提唱した、「すべての人びとが、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力のある社会を持続的、安定的に維持を可能にする自然環境や社会的装置」と定義される社会システムの基盤となるもの

京アニ事件が死刑執行されない事情

2019年7月に発生した京都アニメーション放火事件は、36名死亡という近年稀に見る凄惨な殺人事件です。犯人として逮捕された青葉真司被告は、全身火傷で死の淵をさまようものの、医師団の懸命な治療によって一命を取り留め、多くの被害者遺族と裁判で向き合っています。2024年1月には京都地裁により死刑判決が下され、被告側弁護人から即日控訴を受けて大阪高裁に舞台が移される見込みとなっています。 青葉容疑者の極刑は確実視されるものの、その判決および執行に対しては司法機関が二の足を踏む状況

月末は「終わらせる日」にする。

いつしか様々なサービスがサブスクになって、私たちの生活を取り囲んでいます。動画を観たければNetflix、読書したければKindle Unlimitedといった、従来であればレンタルだったり購買していた趣味の分野でも月額課金が当たり前になっています。 同様に、食品や家具、クルマさらには旅行といった分野にまでサブスクは広がっており、そのための買い物や手配の手間を考えると合理的なものも選択肢が多くなっている印象です。様々なものを所有するのがステイタスだった時代に比べて、ミニマリ