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シェア型書店でちゃんと稼ぐ方法を考えてみた

2024年4月より、神保町にあるシェア型書店「ほんまる」の棚主として活動しています。およそ10ヶ月ほど運用してきて、勝ちパターンというかちゃんと売上げを維持しながら棚主としてのコスト(=賃料)を賄っていく方法について、ある程度知見がまとまったのでこれもシェアします。

本記事は有料記事としておりますが、有料部分にはプライバシーや再現性の低い(属人的な)やり方が含まれているため、無料部分のみでもご参照いただける記載となっております。

前提条件

ほんまる棚主費用:9,350円/月(Sプラン)
書籍販売利益率:15%(ほんまる販売手数料5%を差し引く)

2024年12月には大幅な売上げ増加を達成しました。このデータ解析をされているページの上から2番目、24,000円余りが私の棚の売上げとなっています。24,000×0.2=4,800円が利益となります。

まず、棚の場所については入口付近で山崎玲奈さんの棚のすぐ上という、もっともお客さんの目に付きやすい場所を確保しています。ここは出し惜しみせずに良い棚を押さえた方が売上げは全然違ってくると考えています。

ほんまるは1Fと地下1Fの2つフロアがあるのですが、正直なところ地下まで降りていくお客さんはあまりいないため、1Fで目線の高さ(=Sプランの棚)を確保することは、売上げを上げていくためには必須といえます。(もちろん、売上げ以外の目的もあるので、地下フロアの棚主さんを否定するわけではありません)。

棚という限られたスペースの最大効率を図る

シェア型書店はある意味不動産業であり、棚というスペース(ほんまるの場合約30cm×30cm)に書籍を並べて販売する小規模ビジネスです。このスペースを使ってお客さんに購買いただくための最大効率をどのように設計するかが鍵です。そのためアクリルパネルを使った書影の重層化、文庫本を中心としたコンパクトな品揃えを心がけています。

売上げを高めていくためには、書籍の回転率を上げる必要があります。棚効率という言葉は食品メーカーに勤めていた時は常識でしたが、書店経営においても当てはまるのだと改めて感じました。一方でシェア型書店の場合、他の棚とのバランスだったり、表紙で目を引くような傾向はあまりないため、いかにこの棚のラインナップは面白そうだと思ってもらえるかが重要です。

売りたい本ではなく、買ってもらえる本を選ぶ

これはある意味もっとも重要かつ、シェア型書店では難しいことかもしれません。基本的にシェア型書店は、個人の志向や趣味の集積という場であり、それぞれの推し活がせめぎ合っている空間です。ある人は歴史に関心があり、ある棚では食に関する書籍が並ぶといった、個性がぶつかり合ってその中から自分の知らない世界を垣間見る楽しみがあります。

しかし、売上げという点からはこの個人の売りたい本から出発するとまず売れません笑。私自身も、蔵書を中心に自分の趣味全開な棚からスタートしましたが、自分の手元に置いておきたい一軍と、他の人に売っても良いかな〜という二軍で、実際の棚に並ぶのは二軍級になってしまう有り様でした。

仕入れを工夫する

ほんまるでは、オンラインで新刊の仕入れができます。そこで、巷で話題になっているような新刊をいち早く出品できるように予約することが可能です。私がやっているのは、ブクログなどの書評サイトで新刊情報を入手し、その中で注目が集まっている(発売前なのに本棚登録数が多い)ような書籍を仕入れることです。

とくに話題になったベストセラーが文庫化されたり、初版限定で特典があるようなものは狙い目だったりします。最近だと『同志少女よ敵を撃て』や『塞王の楯』などが文庫化されていますね。前述したように、文庫版の方が売れやすく棚効率が上がるため、ブクログ新刊情報の文庫コーナーは常にチェックしています。

商流を広げる

シェア型書店では棚での販売がすべてですが、実はこの仕入れの機能を使ってより広く商売することは可能です。私は三軒茶屋でワークスペースを運営しており、棚主費用についてはそこの広告宣伝費という形で経費処理をしています。このワークスペースでは不定期に譲渡会やイベントなどを開催しており、さらに読書会もやっています。

この読書会の課題図書をほんまる経由で仕入れることで、ある程度のまとまった売上げを計上できる仕掛けです。今後、ワークスペースから読書スペースへと緩やかな雰囲気転換を図っていきたいと考えており、上手く連動させていきながら書籍売上げも伸ばしていきたいです。

さらに安く仕入れる

ほんまるの場合、書籍の販売手数料を除いた利益率は15%です。たとえば1,000円で仕入れた新刊を販売すると150円の利益が後日振り込まれる形です。これだけで毎月約10,000円の棚主費用を賄おうとすると大変だなぁ(1日3冊程度は売らなければいけない)と、改めて書店経営の難しさを実感します。

実は私の住む板橋区では「いたばしPAY」という独自の地域マネーが流通しており、地元書店でも使えます。そして隔月で20%ポイントバックのキャンペーンが実施されており、たとえばe-honで購入した本を地元書店で受け取る際にも利用が可能です。そこで、いたばしPAYで新刊を大量仕入れしておき、ほんまるで適宜販売すれば利益率を高めることが可能です。もちろん地元書店への経済活性化という地域振興にもなります。

たとえば本棚で売上げ実績のある書籍をこのいたばしPAYで購入して補充することで、定価販売しつつも利益率を押し上げることが可能となります。さらに映画公開前に『傲慢と善良』や『正体』を仕入れることで、在庫回転率を高められます(この辺は一般的な書店もやっていることだと思います)。

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