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Niziプロジェクトが地域活性化に必要だ

11月の本格デビュー前から大きな話題を集めるNiziU。メンバーは全員日本人でありながら、K-POPと韓国風メイク、完成度の高い歌と踊りといった、ヒットメーカー・J.Y.Parkによるプロデュースを経て「ダイヤの原石」たる少女たちがアイドルへと成長する過程が感動と共感を生んでいます。

過程が結果を作って、態度が成果を生む

Niziプロジェクトはアイドル発掘のオーディションであり、そのフォーマット自体は昭和の頃からあるものです。特徴があるとすれば、J.Y.Park氏の独断で1万人もの参加者のなかから26名の東京合宿参加者が絞り込まれ、さらに13名の渡韓する練習生が選ばれることです。JYP自身のアーティストとしての感性と実績、TWICEや2PMといった大ヒットグループを生み出した眼力によって少女たちの才能が見い出され、懸命の努力によって結果が報われるというプロセスに重きが置かれています。

選ばれる側の少女たちも、過度の競争意識を煽られてギスギスし合うこともなく、むしろお互いに励まし合ったり高め合うことで連帯感を醸成していく様子が微笑ましくも厳しく映ります。視聴者は保護者のような親戚のような目線で彼女たちの成長を見守り、その結果がステージでのパフォーマンスで披露されるというカタルシスを得られます。もちろん、NiziU以外のデビューの道が残されていることもありますが、コミュニティ内の調和を重視するのは極めて日本的なコンテンツとも言えるでしょう。

J.Y.Park氏のコメントには金言がたくさんあるのですが、それはアイドルだけではなく地域活性化という文脈でも生かせる内容となっています。以下にそれぞれのコメントを紹介していきながら、それらがどうして地域活性化に繋がるのかについて解説していきます。

長所を見る。長所を生かす。

「短所がないことより、特別な長所が1つだけあることがもっと大切です」「隣にいるみんなの短所ではなく長所だけを見て心から感謝すること。それが謙虚です」

Niziプロジェクトにおいては、NINAという日米ハーフの少女に対して抜群の歌唱力を褒めるシーンがあります。彼女はダンスがイマイチなのですが、そのハイトーンな声量の存在感をプロデューサーとしての武器になると認めることで、NINAは大きく成長しています。

地域に赴いて話を伺うと、自然が豊かで食べ物が美味しく、人が親切といった魅力が語られ、一方で少子高齢化が進み過疎が進んでいる、雇用機会や人材に乏しい、、といった課題を挙げられることが多いです。正直、これらはどんなローカルでも当てはまるものであり、特別な要素とは言えません。そして近隣自治体ほどお互いに意識し合って、似たようなことをやっているのに連携しない状況に陥っていたりします。

現在、地域活性化が上手くいっているようなローカルは、馬路村のように柚子という一点勝負に絞り込んで、何十年も品種改良や商品開発に注力してきたようなところが挙げられるでしょう。長所を生かし、それを時間をかけて磨き上げていくプロセスこそがファンを魅了するのです。

相対評価ではなく絶対評価

「皆さんがここで26位になっても、脱落したとしても、皆さんが特別ではないということではありません。1位になっても26位になっても同じように特別です。このオーディションはある特定の目的に合わせてそこに合う人を探すだけで、皆さんが特別かどうかとは全く関係ありません。1人ひとりが特別じゃなかったら生まれて来なかったはずです。」

このコメントは、MAYAという候補生が「みにくいあひるの子」を紙芝居で発表したときに、その演技力を褒めつつJYPが発したものです。自分の特別な才能を見出されたMAYAは、オーディション後半になると無垢な少女がもはや女優と呼べるほどに妖艶に化ける流れに驚かされます。

よく雑誌やWebの企画で地域ランキングみたいなものがありますが、その中で47都道府県の順位付けをしているものがあります。海や山、気候風土、そこに住む人々の気質などを十把一絡に扱うのは乱暴だと思いますし、特定の目的に応じてランクを付けているだけなのでさほど気にする必要はないでしょう。むしろ、自らのローカルの魅力を探す方に注力した方が良いでしょう。

表面的な魅力だけではなく、本質を磨く

「僕が君たちに期待することは、歌とダンスの実力が全部ではありません。それに劣らず持っていてほしいものは、立派な人柄です。その理由は、君たちが世の中にいい影響を与えてほしいからです。」

Niziプロジェクトはオーディションなので、当然歌やダンスの実力は厳しく評価されるのですが、それ以上に合宿生活における態度や対人関係での人柄が重要視されています。実際に地域予選で補欠合格だったMAYUKAは、人柄を認められて東京合宿を突破し、さらなる高みへと昇っていきました。

地域活性化においても、キレイなWebサイトを作ったり、ふるさと納税の返礼品を豪華にするといった魅力を高めることは重要な施策です。しかし、それらが実際に現地を訪れたときに期待感を損なったり、食べてみて美味しくなかったりするとがっかりしてしまうでしょう。その意味では本質的な地域のホスピタリティを高め続ける努力が必要であり、その当事者としての地域住民の意識が決定的に重要な要素となります。

成功が約束されているNiziUをパクろう

NiziUのデビュー曲『Make you happy』は、本格デビュー前にもかかわらずすでにPVの再生回数1億回突破と大ヒット間違いなしの状況となっています。観る者を元気にする溌剌とした歌とダンスは中毒性がありますね。恐らくは何度もリピートして観ているファンも大勢いるでしょう。

ボーカルで引っ張るRIKUとNINA、ダンスが得意なRIO、ラップが特徴的なMAYUKAとRIMA、スター性が際立つMIIHI、妖艶な演技力のMAYA、愛嬌抜群なAYAKA、リーダーとしてまとめるMAKOと、それぞれの個性がちょうどよく組み合わさってグループとしての魅力を相乗的に高めています。

地域においても、独特の地理的要因によって育まれた自然環境、風光明媚な気候によって育まれた農産物、美味しい料理を提供するレストランやこだわりの地酒、リラックスできる温泉、歴史を感じさせる名所、そしてそれらを語れる地域住民といった様々な魅力が点在していることでしょう。しかし不思議とそれぞれは縦割り構造に陥って相乗効果を発揮していないところがほとんどです。

それらが完璧な状態で提供されている必要はありません。むしろ、どうやってそれら地域の価値を守りながら持続可能な形で活用していけるのかというプロセスに対して、多くの人々が関心を持つような仕組みづくりこそが肝要なのです。日本の魅力は各地域の多様性にあることは明らかなのですから、それぞれの魅力を組み合わせてローカルをプロデュースしていければ良いですね。

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1977年シアトル生まれ。地域イノベーション企業家。林業合コン、棚田deセグウェイ等の過疎地ビジネスを経て、行政トップの右腕、大学教員と産官学を経験。犬猫が地域に生き残る寛容な社会を目指すネコウヨです。

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