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マスクしている人を残念に思う理由

中国から発生した新型コロナウィルスが連日ニュースになっています。日本国内でも感染者が確認され、ドラッグストアではマスクが品薄になるといったパニック的な状況になりつつあります。

イギリスのEU離脱

一方で新型コロナウィルスの影であまり大きなニュースになっていませんが、1月31日でイギリスがEUを離脱することが決定し、ECの時代から約半世紀続いた、イギリスの欧州共同体への加盟が外れることになりました。

とはいえ、北部アイルランドの国境線の取り扱いなど懸案事項を今年末までに決めていくものとして猶予期間を設けています。実際のところ、イギリスは自国通貨であるポンドの金融政策について、自主性を以って運用することが可能になりますから、すでに経済的な目標は達成したものとも考えられ、完全な離脱ではなく通商や人の往来の自由度はある程度担保される予測もあります。

トランプ大統領の弾劾裁判

アメリカでは、トランプ大統領が現職としては3人目となる弾劾裁判で訴追されています。今年の大統領選挙再選に向けて暗雲が垂れ込めていると言える状況ですが、そもそもトランプ大統領を支持する白人の割合は近い将来に50%以下になると予測されており、いずれにしても現在のような反グローバル政策を継続することは難しくなっていくでしょう。

イギリスにしても、EU離脱の発端となったのは2000年代半ばのシリア難民問題と同時期に発生したロンドン同時爆破テロ事件であり、アメリカも2001年9月11日の同時多発テロ事件以来、反グローバル化への流れが加速していった経緯があります。世界は分断され、外国人や異教徒に対してヘイトスピーチを流すような極右派が台頭したのもこの頃です。

マスク姿は分断の象徴?

日本でも通勤時にマスク姿が過半数を占める状況となっています。新型コロナウィルスのような極小の存在に対して、マスクは無意味という意見もありますが、すでに罹患している人が咳やくしゃみによる飛散防止をする上では必要でしょう。しかし、大半の人は予防にならないのに予防目的で着けているようです。それでドラッグストアからマスクが消えたり、フリマサイトで高額転売するといった事態になっています。

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もちろん、喉を保湿したりハウスダストや花粉といったアレルギー源を防ぐためにマスクをすることは有効でしょうが、予防のためにマスクをしているのであれば、それは他者を拒絶しているようにも感じてしまいます。それならばアルコール(メタノール)入りウェットティッシュを買って、こまめに除菌した方がまだ効果が高いです。そもそも大人数のいるような都心部に通勤するモデルをそろそろ止めたら良いし、働き方改革を進めて在宅でのワークスタイルを取り入れる方がよほど生産的でしょう。

中国人・感染者を締め出しても防げない

春節を迎えた中国人観光客や、武漢から帰還した邦人への接し方についても、ヘイトスピーチにも似た意見を開陳しているケースが目に付きます。中国人は締め出せ、帰還者は隔離しろ、と言うのは容易いですが、すでに日本人でも感染者が全国的に増えている状況では、水際対策は時間稼ぎにしかなりません。

コロナウィルスやインフルエンザは、冬場の乾燥した時期に多く発生するように、春先になれば収束します。2ヶ月も経てば、あの騒ぎも何だったのかという状況となるでしょう。また、手洗いや歯磨きをキッチリとして、睡眠と栄養をしっかり摂れば、健康的な一般人の抵抗力が負けることはありません。

ヨーロッパから見れば、日本も中国も同じ

そして、欧米から見れば日本は中国の隣国ですでに新型コロナウィルスに侵されていて、夏の東京オリンピック・パラリンピックの開催は難しいのではないか、といった風潮も一部では始まりつつあります。

我々がブリュッセルとアムステルダムの位置関係を良く分かっていないように、欧米人にとっては東京は北京と何だか近いという印象を持つことでしょう。そうすると、私たち日本人が騒動を大きくすればするほど、海外に対してマイナスイメージを持たれてしまうことに繋がってしまうかもしれません。新型コロナウィルスが収束しても、いったんヘイト的な意見を書き込んだデジタルタトゥーはネットに残り続けます。

我々の分断思想がさらに大きな分断を生んでしまうリスクを踏まえつつ、冷静に対処することを期待しています。

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