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地方創生の次に来るもの

長年、地域おこし・地方創生分野に関わってきて、潮目が変わったことを感じます。政治的には地方創生担当大臣が変わるといった動きがありますが、まち・ひと・しごと創生総合戦略が改訂となってその方向性が大きくシフトしたことが大きいでしょう。

やる気のある地方を支援⇒中枢中核都市に集中へ

まち・ひと・しごと創生本部から地方創生シティマネージャーを委嘱された際には、過疎地域を中心に努力目標を課して意欲の高い自治体に対して競争的予算を配分するといった内容でした。奈井江町においても、地方創生推進交付金を活用して町立病院をCCRC併存型に改築するといった取組みを進めました。

今回のまち・ひと・しごと創生総合戦略改訂では、各県において県庁所在地や政令指定都市といった中枢中核都市を指定し、そこに公共機能や雇用創出を集中させて人口を留め置く方針です。つまり、従来の郡部など過疎地域振興から、地方における中心都市への集中を目指すという転換が示されています。

目前に迫った団塊世代の後期高齢者への突入

国として、のっぴきならない状況になっているのは、2020年には団塊世代が70代となり、2025年には後期老年人口が増加して医療介護コストが跳ね上がると言われるからです。そして老年人口を中心に首都圏に集まってくることになれば、現在すでに飽和状態にある首都圏の医療機関や介護施設はパンクします。

一方で地方においては、人口動態の変化は先行的に起こっていますから、2020年代にはピークを超えていることでしょう。地方の余裕が生まれる医療機関や介護施設に、後期高齢者をシフトさせようという動きが地方創生政策において重視されたCCRCでした。しかし、それらが上手くいっているわけではありません。

なぜ地方創生政策は上手くいかないのか

これらCCRCのような取組みは、後期高齢者の医療・介護問題というシングルイシューを解決しようとするものであり、そこに魅力が乏しいために姥捨て山のような印象を持たれてしまっています。シェア金沢のように、高齢者住宅のみならず大学生の寄宿舎や日帰り温泉が集約されることで、多世代交流や多様なイベントが創出される場づくりというソフト的価値こそが重要なはずです。

1つの予算投下で、高齢者も若者も、地域住民も観光客も楽しめるといった地域イノベーションの考え方をソフト的価値と捉え、一粒で何度も美味しいプロジェクトを仕掛けることが地方創生時代にとっては必要です。ある特定の政策イシューを解決するといった手法は、経済成長時代においては有効だったかもしれませんが、現代においては複数の課題を解決していくような統合の方が縮小する地方経済には求められています。

今後注目の分野は「防災」

それでは、今後どういった政策イシューに基づいて統合的な地域イノベーションを仕掛けていけば良いのでしょうか?1つの大きなテーマとなるのは「防災」でしょう。太平洋沿岸には南海トラフ地震と津波の可能性が指摘されており、また毎年のように豪雨や水害が各地を襲っています。気候変動に伴う災害リスクが高まる昨今においては、高齢者や子どもといった生活弱者をどのように守るか、地域の底力を高める必要があります。

それとともに、これら非常時への備えを進めることは、平常時には地域コミュニティの連帯を強める作用を及ぼします。地域防災計画はどのようになっており、どこに高齢者が住んでいて誰がどうやって避難介助するか、といったことを決めておくためには日常的なコミュニケーションに拠るところが大きいでしょう。

企業と災害時における協定を結ぶ、遠隔地自治体と広域連携を行なうといった非常時への備えに対しても、平常時の綿密な付き合いこそがそれらを活かす鍵となります。それはつまり、地域おこしや地方創生といった内容と何ら遜色のない取組みと考えられます。地域におけるソフト的価値をどのように積み上げていくか、それらを防災というイシューにおいていかに再統合していくかが問われています。

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にゃん
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猫の地域経済研究所(ネコノミーラボ)

山梨県、岡山県、徳島県、福島県、北海道、三重県と日本各地でプロジェクトの0→1を立ち上げるお仕事を経験。猫がウヨウヨしている地域社会を志向するネコウヨです。猫が暮らしやすい地域は人間も暮らしやすい。気持ちが温かくて、いろんなことに寛容で、雑多な雰囲気の内容を目指しています。

地域おこし研究

日本から世界へと発信するローカルイノベーションを研究しています。
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