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サピエンス日本上陸

昨年、与那国島に行きました。今思えば、昨年のうちに彼方此方の離島過疎地に行っておいて良かったです。StayHomeの間にこの与那国島が舞台となったドラマ『Dr.コトー診療所』を見直したり、あの独特のゆったりした空気を思い出しています。

日本列島に来るために、海を渡った先祖たち

現在読んでいるのは、『サピエンス日本上陸 3万年前の大航海』という本です。我々の先祖であるホモ・サピエンスがいかに日本列島へ到達したのか、太古の昔に海を渡ってきた人々の想いを想像しています。

そう、ホモ・サピエンスである人類と原人やクロマニヨン人等の旧人類の大きな違いの1つは、海洋進出です。アフリカ大陸から出てきたのは共通していますが、旧人類がユーラシア大陸南部までしか到達しなかったのに対して、ホモ・サピエンスは海を渡り南北アメリカ大陸やオセアニアまで到達しています。その出発点となったのは、ユーラシア東部と言われています。

約3万5千年前の旧石器時代、現代よりも寒冷だった気候によって海面は80m程度低かったと考えられます。それでも対馬海峡や津軽海峡は大陸から隔てる役割を果たしており、また海溝とトラフに囲まれた琉球諸島はすでに絶海の孤島でした。つまり(北海道を除く)日本列島にホモ・サピエンスが上陸するためには、海を渡るしかなかったのです。その大半は対馬~九州ルートと考えられますが、少数は台湾から琉球諸島にやってきたことが発掘調査から明らかとなっています。

台湾~与那国ルートの航海を再現する

この『サピエンス日本上陸』では、台湾から与那国島、そして琉球諸島に渡った先祖たちの約100kmの航路を再現調査しています。まずは葦船、そして竹のいかだ、そして丸太舟と製作していくところから開始し、黒潮の速い流れや変わりやすい天候に翻弄されながらも様々なデータを蓄積していきます。

3万年前の航海においては、帆船のような風を使う技術はなく自らの手で漕ぐことが唯一の動力だったと考えられます。そして100kmという距離は、ギリギリ視認できるか否かの限界であって、悪天候や夜間はたちまち方向を見失うことになります。このような条件下で、どうして太平洋に漕ぎ出そうと決断したのか、そして瞬く間に1200kmに及ぶ琉球列島を制覇したモチベーションはどこから来るのか、非常に興味深い内容となっています。

漂流ではなく、意志を持って渡った

民俗学者の柳田国男氏は、『海上の道』において日本人の先祖が南方渡来の海上の道を辿ってきた人々もいたことを書いています。その当時は、東南アジアなどから漂流して辿り着いた前提で書かれていましたが、どうやら明確な移住の意志を持って台湾から琉球諸島に渡ってきたという学説が有力となっています。

漂流の場合、漁業などをしていた人々が流されて着いたという状況でしょうが、東南アジアからは20日程度かかりその間食料や水をどうしていたのかが疑問です。また、実際に渡来後に子孫を増やしているわけですから、男女が一定数やってきたと考えられ、特定の家族が偶発的に漂流してきたという説は否定されます。つまり、我々の先祖は自らの意志で海を渡り、日本列島に辿り着いたのです。

旅をすることが遺伝子に刻まれている

感染症が世の中を覆い、今後は航空機や船舶による自由な往来ができなくなるのではないかという予測があります。海外旅行などは当面できず、観光であちこちに行くことは叶わなくなったと悲観的に考える人もいます。でも、個人的にはまったくそうは思いません。

むしろ我々の先祖は旅をしてきたから、いま日本列島に私たちが存在するわけであり、また新幹線や航空機など移動に関する技術が進展し、情報通信技術が発展するにしたがって私たちはさらに移動するようになりました。人類は木を下りて森から出た瞬間から、移動と旅を宿命づけられてそれによって発展してきました。時代に応じて住みよい場所を選び、回遊できる知恵を積み重ねてきたからこそ、様々な苦難からも逃れてきたのです。

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1977年シアトル生まれ。地域イノベーション企業家。林業合コン、棚田deセグウェイ等の過疎地ビジネスを経て、行政トップの右腕、大学教員と産官学を経験。犬猫が地域に生き残る寛容な社会を目指すネコウヨです。

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日本や世界をフラフラと旅して、日本から世界へと発信するローカルイノベーションを研究しています。

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