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最強のクマ対策=秋田犬の歴史

秋田県鹿角市で山菜採りに山に入った男性がクマに襲われて死亡し、その遺体を回収しようとした警察官が二次被害に遭いました。事態を重くみた県と市町村は緊急会議を開き、対策を協議しています。秋田県では連日各地でクマの出没情報が発生しており、例年に比べてもその頻度は高まっています。

マタギとともに暮らしてきた秋田犬

秋田県といえば、秋田犬あきたいぬが有名です。国の天然記念物に指定され、世界でも注目されるその愛くるしい姿は、実はマタギとともに猟犬として厳しく育てられてきた歴史が創り出しています。厳しい寒さをものともしないモフモフな毛皮、山林を駆け巡ってもびくともしない太い足、長時間獲物を追いかけられるスタミナ、主人にだけ従順なやさしい性格、、これらの秋田犬の性質は、狩猟のために改良されてきました。

もともとは縄文時代から狩猟採集生活の供として人間に寄り添っていたマタギ犬という祖先は、柴犬程度の大きさの中型犬だったと言われています。やがて秋田(出羽国)を治めた佐竹氏が配下の武士団に闘犬を奨励し、このマタギ犬に土佐犬など大型犬種を掛け合わせるようになります。

明治以降は洋犬や樺太犬など海外の犬種も掛け合わされる一方で、純血種としての保存運動の機運も発生します。昭和初期に秋田犬保存会が発足し、戦争を経て10頭程度まで減少した苦難を乗り越えて現在に至っています。

なぜクマは犬を極端に怖れるのか

クマは本来は臆病な動物で、とくに人間や犬との遭遇を避ける傾向にあります。オオカミのように群れで狩りをする動物に対して、単独行動のクマは劣勢になることが多いため、なるべく鉢合わせを避けるようになったと言われています。やがて人間とともに行動するようになった犬はほぼ間違いなく狩りのために山に入ってくる存在であり、クマはいち早く逃げることで生き延びてきたのでしょう。

実際に他の地域では、主にサルやイノシシといった獣害対策のために追い払い犬を養成する事業を実施しているところもあります。秋田県でも、秋田犬を中心に大型犬種でクマに対抗する地域があっても良さそうです。

世界で愛される秋田犬

秋田犬でもっとも有名なのは、渋谷にその名を残す忠犬ハチ公でしょう。またフィギュアスケートのザギトワ選手に秋田県知事からマサルという秋田犬が贈られて溺愛されているようです。そういえばプーチン大統領にも贈られてましたね。また『流れ星銀』シリーズのように、まさにクマと戦う犬たちの姿が描かれた作品もあります。

また、第二次世界大戦後に日本を占領したアメリカ軍の軍人が秋田犬を飼いはじめ、本国に帰国後アメリカン・アキタという独自の純血系が派生しています。現在は愛玩犬としての需要が主となっている秋田犬ですが、ルーツを辿ると猟犬としての歴史が長かった経緯もあり、その性質には勇猛果敢かつ人間を忠実に守る従順さを兼ね備えた能力が備わっています。

春の山菜採りや秋のキノコ狩りといった際には、必ず秋田犬を連れて行くような習慣を身に付けるとともに、地域単位でこの先祖代々の守り神をシェアしていくような仕組みを構築すると良いのかもしれません。


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