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都市集中シナリオの破綻

急激に様々なことが制限される世の中になってきました。「不要不急なことは控えよ」「大規模イベントや外出は最低限に」といった要請が政府や自治体から出され、しかしその基準は明確にされていないためにイチ住民としては戸惑ってしまう人も多いのではないでしょうか。

都市集中シナリオと地方分散シナリオ

少し前に、京都大学と日立が共同でAIによる未来予測提言を実施しました。内容としては、2050年までの社会構造の変化を複数のシナリオに分けて分析した結果、大きく2つの方向性として都市集中型と地方分散型に別れるというものです。

a) 都市集中シナリオ
主に都市の企業が主導する技術革新によって、人口の都市への一極集中が進行し、地方は衰退する。出生率の低下と格差の拡大がさらに進行し、個人の健康寿命や幸福感は低下する一方で、政府支出の都市への集中によって政府の財政は持ち直す。
b) 地方分散シナリオ
地方へ人口分散が起こり、出生率が持ち直して格差が縮小し、個人の健康寿命や幸福感も増大する。ただし、以下に述べるように、地方分散シナリオは、政府の財政あるいは環境(CO2排出量など)を悪化させる可能性を含むため、このシナリオを持続可能なものとするには、細心の注意が必要となる。

不要不急の地球環境・高齢化問題

この分析結果については、主に温室効果ガス排出や生物多様性の減少といった地球環境にまつわる問題や、高齢化による社会保障制度の持続性と格差の拡大といった人口問題に焦点が当てられていました。これらの課題は重要ですが、実感に乏しいために多くの人々の認識からは不要不急のものと捉えられていました。

しかし、そこに突如「疫病」というパラメーターが顕在化してきました。この疫病が気候変動によって出てきたものなのか、原因は分かりませんがグローバル化によって中国からヨーロッパ、アメリカまで巻き込み、日本も他人事ではいられなくなった状況です。

私たちは分岐点にいる

このAIの予測では、2017年時点で8~10年後つまり2025~30年辺りに分岐点がやってくると説明されていました。しかし、都市集中シナリオの脆弱性が明らかとなった現在では、どうやら転換点はもっと前倒しとなりそうです。

現在のままの予測では、2050年には首都圏の高齢化率は40%を超えると言われています。この状況下で、果たして自然災害や疫病にどれくらい対応できるのでしょうか。そして自然災害や疫病は科学が進歩することである程度コントロールすることもできるでしょうが、集団心理によるパニックは様々な物資の買い占めであったりメディアにおけるフェイクニュースであったり、集中するにしたがって悲惨な状況となっていきます。

強制的な働き方改革のその先へ

すでに在宅勤務によるリモートワークが普及するにしたがって、満員電車に乗っての定時出社や発言しない会議・ハンコを回す稟議といった無駄な業務が可視化され始めています。働き方改革を自分事として進めるきっかけになったという人もいるでしょう。

あれ、別に会社に出勤しなくても仕事ができてしまうのでは?という人にとっては、職住近接やサテライトオフィス、ワーケーションといった言葉も身近になってきているものと思います。是非とも地方分散型に舵を切る機会になれば良いですね。

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