鈴木亮平がNetflixに出る意味
実写版『シティーハンター』が4/25よりNetflixで公開され、ドンピシャ世代として早速観てみました。いろいろなレビューを拝見しても概ね好評のようで、アニメ版に対する再現度の高さなどが話題となっています。
地上波放送のエースだった鈴木亮平
主演の鈴木亮平さんは、NHK大河ドラマ『西郷どん』をはじめ、『
TOKYO MER』や『下克上球児』でも主演を務めるなど、いま最も売れている男性俳優の1人です。ストイックな役作りで知られており、映画『HK/変態仮面』では細マッチョで映画『俺物語!!』ではゴリマッチョと、体重20kg程度は平気で調整する役者さんです。
今回の『シティーハンター』でも自慢の身体を惜しみなく披露しつつ、アキラ100%ばりの脱ぎ芸をするなど、人気俳優なのに吹っ切れた演技が魅力です。そしてアニメ版の声優だった神谷明さんの「もっこり~」という声を完全コピーするなど、カメレオン俳優としての面目躍如する内容でした。
Netflixに進出する地上波俳優たち
Netflixではこの『シティーハンター』を含め、様々な映画やドラマを独自配信するなど、オリジナルコンテンツの拡充を進めています。とくに韓国ドラマではNetflix独占配信のものが多く、また日本でも最近では『浅草キッド』『ちひろさん』『サンクチュアリ』『忍びの家』といった大型作品が相次いでリリースされました。
とくに山田孝之さんは、『全裸監督』『全裸監督2』で主演を務めるように、むしろ地上波からすでにNetflixのような配信系に軸足を移しています。同様に『サンクチュアリ』で主演した一ノ瀬ワタルさんは、これまで悪役などでの出演が多かったところから関取に見えるような役作りを重ねて話題となり、一気に主演クラスに上り詰めました。
また『全裸監督』では、今回の『シティーハンター』でパートナーの香役を務めた森田望智さんが体当たり演技を見せており、もはやNetflixクラスタと呼べるような俳優陣が集まりつつある状況です。『サンクチュアリ』でも薬物で逮捕されたピエール瀧さんが復帰するなど、地上波では様々な制約があってできない表現や出番のない役者さんが活躍する印象です。
“オワコン”な地上波ドラマ
今年に入って、漫画『セクシー田中さん』の実写ドラマ化について原作者が自殺する、ショッキングな出来事が発生しました。ドラマ制作の脚本家やスタッフと意見の相違があったとされ、またそのことをSNS投稿した際に炎上に繋がって残念な結果になりました。
今クールの地上波ドラマを概観しても、検事や弁護士の法廷ものや刑事・医者などの専門職をテーマにした内容が大半を占めています。昔から視聴率が取れて、かつ勧善懲悪や起承転結が分かりやすいために炎上しにくいコンテンツであるため、各局が予算とスケジュールの制約を持ちつつ保守的に制作している背景が読み取れます。
そこに登場するのは元ジャニーズ事務所の俳優たちが多く、TVでは依然として数字が取れる存在として重宝されているのが理解できます。一方で前述した本格派俳優に比べて演技が棒っぽく、また役作りも中途半端でアイドルとしての存在がむしろ役に入り込むのを邪魔している印象がします。
木村拓哉さんをはじめとしたジャニーズ系俳優の無難かつ最大公約数的な器用貧乏とも言える存在感は、保守的な地上波ドラマにベストマッチしており今後も登用は続くでしょう。もはや社会現象も問題提起もできずに、ただコンテンツとして10%以下の視聴率を消費するだけの内容が流れていく状況です。
日本でも俳優たちがこぞって配信系に移る?
鈴木亮平さんのような大河ドラマ主演クラスの俳優がNetflixの作品に出演したことは、この地上波ドラマの閉塞感に対して1つの契機になるでしょう。とくに、役作りや再現度にこだわる俳優であればあるほど、肉体改造や役に入り込むための準備期間が必要ですから、地上波ドラマのスケジュール感とは合わないケースが多くなるものと考えられます。
また地上波では出られないような俳優たちを起用するケースも増えそうです。伊勢谷友介さん、伊藤健太郎さん、永山絢斗さん、沢尻エリカさんなど、演技力には定評があるも犯罪や不祥事を起こした俳優たちの出番もあるかもしれません。そのような再チャレンジの機会があれば良いですし、世界配信であれば海外の人にとってはあまり関係ありませんね。
個人的に楽しみにしているのが、今村翔吾さん原作『イクサガミ』の実写化です。映像化は不可能ではないかとされていましたが、『るろうに剣心』のようにワイヤーアクションやCGを活用して表現するのでしょう。ジャニーズ事務所からいち早く袂を分かって俳優業に専念する岡田准一さん主演というのもポイントです。
潤沢な制作費と長い時間をかけて、本格的な俳優たちが躍動する映像を観たいならば配信系にならざるを得ない、そんな世界的風潮に日本も無縁ではありません。
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