見出し画像

若者に説教するオッサンの取扱い説明書

山田孝之の東京都北区赤羽』という番組が結構お気に入りです。地元が板橋区なので親近感があるというのもありますが、移住や自分探しといったテーマでノンフィクション(もしかしたら台本があるのかもしれないが)的に扱っているのは興味深いです。2015年にテレビ東京系列の深夜番組で放送され、各種オンデマンド放送でも公開されているので是非とも観てもらいたいです。

演技だったら凄すぎる、金曜深夜「山田孝之の東京都北区赤羽」がひやひやして面白い

その第二話の最後の方で、主演の山田孝之が赤羽に引っ越してきた歓迎会の様子が描かれています。山田は強面のオッサン・ジョージさんに握手を拒否され、「赤羽の人を舐めてるんじゃないか?」と絡まれます。有名人でありイケメン俳優である山田孝之が地元に引っ越してくるのは、歓迎こそすれ否定する話ではありません。当然、ジョージさん以外の赤羽住民は喜び、様々な協力を山田に対して行なっていくわけですが、ジョージさんは頑なです。「お前が前に住んでいた場所の住民はどう思っているんだ?」「どうせまたすぐに出ていくんだろ」といった具合で、要するにウザいオッサンなのです。


移住あるあるランキング上位の「ウザいオッサン」

年長者だったり、古参と新参といった立場を背景とした批判的な物言いは、それを言われる方には圧力となります。地域に関与する仕事をしている自分でも、結構な頻度でこのようなオッサンに遭遇します。もちろん、男女の差別をするわけではないですが、こういったアプローチをしてくるのは圧倒的に高齢男性が多いのです。その背景には、新たな人生の挑戦をしようという若者へのやっかみやこれまで期待し続けてきて裏切られてきた経験、照れや愛憎交じりの表現といった複合的な要因があるのでしょう。

この感覚自体は実は人間のみならず、動物界全体において見られる傾向です。つまり、群れ(=コミュニティ)を形成するオスが外からやってくる若いオスを追い払ったり自らの縄張りを主張するのは、自らのアイデンティティ(動物の場合には遺伝子)を守るために必要な本能的行動なのです。要するにオッサンは理性よりも本能を優先する、野性的感性の持ち主であるという分析ができます。

苦手なオッサンを味方にする

その後、山田は再びジョージさんの元を訪れ、ジョージさんが愛犬を溺愛している光景を目の当たりにします。強面のオッサンが半裸でプードルを可愛がるシーンはなかなか衝撃的なところがありますが、虐待する飼い主から救い出した武勇伝などを聞いているうちに、山田とジョージさんの間に新たな絆が生まれるという流れです。そして後半にはジョージさんは決定的な役割を演じることになります。

この場合、山田は敢えて苦手なオッサンの懐に飛び込み、彼が大切にしている価値観や正義といった面に共感することで、一転してこのオッサンを味方にすることに成功しています。ノンフィクションにしては出来過ぎなので台本通りだったのかもしれないですが、いずれにしても前段に嫌な奴だという認識が視聴者にも刷り込まれたせいで、このジョージさんのキャラクターが強烈に浮かび上がってきます

人生の岐路を導いてくれるのはオッサンである

こういったアプローチをしてくるのは高齢男性が多い、ということを書きましたが、そこから一歩踏み込むと新たな人脈を紹介してくれたり仕事を斡旋してくれたりするのは、やはり男性です(自分自身が男である点もあるが)。女性は割と身の回りのことを心配して世話してくれることはあっても、より長期スパンでの影響力という点ではオッサンに世話になったことが思い出されます。

本能面で言えば、女性は群れ(=コミュニティ)を適正に維持するための日常生活を円滑に進める傾向がある一方で、男性は群れが飢えないように新しい狩場や外部からの影響に気を配るといった役割分担があるのでしょうか。いずれにしても、定期的に進捗を報告する等のオッサンの顔を立てる行動を欠かさなければ、意外なほどにあっさりと協力してもらえるようになります。

若者よ、オッサンを毛嫌いせずに是非ともその懐に飛び込んでみることをおススメします(このエントリ自体が説教くさいと思わないでほしい)!

ご参考になった場合には、投げ銭をしていただけるとうれしいです!今後の励みになります。

ここから先は

0字

¥ 100

日本一生産性の上がらない保護猫が邪魔するワークスペース「SANCHACO/neco-makers」を世田谷区三軒茶屋で運営しております。ご興味のある方は是非! https://sanchaco.com