8/9 AIが神になる日
2019年8月9日(金)に、KaMiNG SINGULARITY「AIが神になる日」というイベントに登壇します。
神の見えざる手がAIになる
社会主義は、中央集権型の国家経済によって計画的に生産と需要をコントロールすることが志向された計画経済でした。結果としてソビエト連邦は崩壊して、国家権力があらゆる経済活動を予測し計画して需要を創り出すという構想は不可能であると実証されました。
一方でアメリカ合衆国を中心とした資本主義はその隆盛を極めているように見えますが、トランプ大統領の主張するAmerica Firstであったり、EUのBrexitのような対外的な強硬策を生むとともに、国内においては貧富や機会の格差を生む構造が生まれてきています。とくにAIが産業に組み込まれることで、資本家はますます裕福になり労働者は仕事を奪われるといった、上下の分断が大きくなる可能性があります。
世の中のあらゆるビッグデータを組み込んだAIであれば、社会主義が志向した計画経済を実現できると考える研究者もいます。需要と供給を各企業の経済活動に任せた資本主義は分権型社会と言えますが、それが行き過ぎると各個人の権利を阻害するという部分をAIによって補完するという考え方もあります。とくに公共事業や行政の仕事など、再分配によって創出されている分野については事務手続きなどのコストが掛かり過ぎている傾向にありますから、AI活用の余地は大きいでしょう。
2045年シンギュラリティを幸せに迎えるために
現在のスピードでAIが進化すれば、2045年には人間の頭脳を超える演算能力が得られる“シンギュラリティ”を迎えると言われています。今は特化型AIと言われる、特定用途に絞ったデータ解析や応答に用いられているAIも、今後は汎用型AIと呼ばれる脳のような五感からのあらゆる事象を別の感覚に接続するといった機能を持つようになるでしょう。そうすると、肉体労働や単純労働はすべてロボットに任せることができる社会になります。
しかし、産業にロボットを導入してもその経済的恩恵を受けるのは資本家だけです。持たざる者としての労働者は職を奪われ、もしかしたら暴力や戦争が起こるかもしれないというのは過去の産業革命の歴史から見ても想像できます。そうしないために、持たざる者に対しても資本を適正に配分できる社会システムを早急に考えて実装していく必要があるでしょう。それはBasic Incomeなのかもしれませんし、あるいはバタイユが“放蕩”と称したような、祝祭・宗教・エロス・芸術といった人間の喜びの本質を追求する欲を資本化することなのかもしれません。
近未来を一緒に話しましょう!
そんなこんな課題意識を持ちつつ、8月9日のイベントでは有識者とともに議論を深めていければ良いと考えています。肉体労働や単純労働から解放された人間は感情労働や第一次産業に向かうのではないか、という視点も織り交ぜつつ、あるべき社会システムを一緒に想像していきましょう。