消滅自治体とマイルドヤンキーの関係
元総務大臣の増田寛也さんが座長を務める「日本創成会議」から、2040年に若い女性が半減する「消滅自治体」が896に上るという、衝撃的なデータが発表されました。
896自治体、若年女性半減で消滅の可能性(TBS News i)
このニュースは「限界集落」「少子高齢化」に続くバズワードとして、各自治体の政策に影響を与えることは必至でしょう。一方でいたずらに危機感を煽ることで、本来重要な取組みが見過ごされてしまう可能性もあります。
都市部の高齢者介護のために、田舎の若年女性が流出
NHKで5月1日に放送されたクローズアップ現代『極点社会』という特集では、今後は首都圏など都市部における高齢化が急速に進展していく中で、地方の専門学校などで福祉の勉強をした女子学生が、介護需要の急拡大する首都圏に就職していく様子が描かれています。
NHK クローズアップ現代『極点社会』ホームページより抜粋
東京都では全国でも飛びぬけて出生率が低く、また子育て環境が整備されていないために、地方から労働力として若年女性を吸い上げることによって、日本全体の人口減少に拍車がかかるのではないかと危惧されています。
いずれにしても今回の提言を受けて、高齢者に手厚い行政予算配分を現役子育て世代に振り向けるような、政策意思の転換が必要となるでしょう。
首都圏において、人口減少が抑えられているエリア
ここで日本創成会議のホームページで公開されているデータを精査してみると、神奈川県都筑区では若年女性がむしろ増えていて、さらに埼玉県や東京都下と言われるエリアにおける人口変化率が比較的ゆるやかであることに気付きます。東京23区では‐40%を超えるところもある中で、このエリアにおいては人口減少が抑えられていることが理解できます。
関東での人口変化率ランク(日本創成会議公開データより、筆者改変)
横浜市都筑区は港北ニュータウンと言われる、横浜北部の新興住宅地です。比較的若い世帯が住み、合計特殊出生率1.49と首都圏においては飛びぬけて高い数値を示しているエリアです。同様に群馬県吉岡町は大手飲料メーカーの工場があるベッドタウンであり、埼玉県吉川市もニュータウンです。
都下のマイルドヤンキーは社会の希望
これら、首都圏近郊において職住近接でつつましやかに暮らしている若年世帯は、近年「マイルドヤンキー」と呼ばれて話題になっている層です。半径10km以内で生活圏が完結しており、近所に住む中学時代からの仲間とともに、近隣のショッピングモールに遊びにいくことが何よりの楽しみだと言われる新保守層が、実はこれからたくさん子どもを生んでいくのではないかと言われています。
2004年に公開された映画『下妻物語』では、茨城県の片田舎に住むマニアックなマイルドヤンキーと言える桃子と残存ヤンキーと言えるイチゴが登場しています。まさに高校生だった彼女たちが10年経って子育て世代に突入しているのでしょう。生まれた頃から不景気だった世代にとって、物質的な欲求が低い一方で、「繋がり」や「地元」といったキーワードで幸福感を得られるというのは、地域コミュニティにとっても心強いでしょう。
消滅自治体に名指しされた地域が生き残る方法
消滅自治体と呼ばれた首長さんにとっては、非常にショックを受けていることでしょう。どうしたらよいのか、座して消滅を待つべきなのかと考えているところでしょう。注目すべきはマイルドヤンキーです。彼らが子育てしやすく、安心して暮らせるまちづくりを目指しましょう。
たとえば中心商店街が閑散としてシャッター通りになってしまっているのであれば、コンパクトシティとして彼ら若年世代がお店を持ちやすい形にリノベーションしていきましょう。信用金庫などの地方金融を絡めた政策を実行すれば、それも可能です。
地方金融を活用した中心市街地活性化モデル(筆者案)
小中学校の生徒の数が減ってしまって閉校の危機であるならば、役場の支所や図書館、公民館、高齢者の憩いの場といった機能をすべて学校に集約させましょう。多様な世代の大人によって育てられる地域は、都会とは違った魅力を発信できます。
続きは、イベントで。。
いずれにしても、待ったなしでの地域変革へと突入しました。意欲と実行力のある自治体に対しては、我々としても様々な政策アイディアを提供していく用意があります。
5月16日(金)19時より、村楽ナイト~年収500万円を稼げる田舎づくり~というイベントを東京のド真ん中で開催する予定です。ご興味のある方は是非お越しください!
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