検索から編集へ~ネットアクセスの変化
我々がPCからインターネットを利用する際には、GoogleやYahoo!などの検索エンジンにキーワードを入力したり、これらのニュースフィードを読むのが普通です。実際にブラウザのトップページにGoogleやYahoo!を設定している人も多いでしょう。
ところが、今このネットへのアクセス方法に地殻変動が起こり始めています。そう、スマホの普及によって「検索」という行為自体がされにくくなってきています。すでにネットへのアクセスの6割程度がスマホからと言われる現状において、いちいち検索エンジンに検索ワードを入力するという行動は手間となりつつあるのです。
スマホ時代のインターネットの使い方
スマホの場合、基本的には片手操作で“ながら読み”をするのが一般的です。FacebookやTwitterなどで流れてきた誰かの情報をシェアしたり、LINEのクローズドなコミュニティでスタンプを押したり、いずれにしても反射的なコミュニケーションが主流となりつつあります。
そうすると、ある事柄について調べてみようであるとか、キーワードに紐づいた新着ニュースをピックアップしようといった、これまでの検索を前提としたネットの使い方はあまり行なわれなくなってきます。実際にGoogleリーダーはサービスを停止しましたし、同様のRSSリーダーで検索結果を定期的に拾ってくるといったサービスは下火になりつつあります。
キュレーションメディア戦国時代の覇者は誰か?
そこで勃興してきたのがキュレーション(編集)メディアです。有名なところではGunosyやSmartNews、そしてNewsPicksが挙げられます。このキュレーションメディアにおいては、自分自身の趣味趣向や関心のあるキーワードに合わせて、他のユーザーの統計データなどを組み合わせておススメ記事を届けてくれるサービスがメインとなっています。
GunosyはFacebookやTwitter、はてなブックマークなどでユーザーが閲覧した履歴を元に、似た志向の人から統計的に導き出したおススメ記事を抽出するサービスです。SmartNewsは自分がフォローしているFacebookやTwitterの友達から、自分好みの気になるおススメ記事をピックアップしてくれるサービスです。自分の趣味嗜好を深掘りするか、友人知人との共通の話題を大切にするかで使い分けてみても良いでしょう。
またNewsPicksにおいては、主にビジネスマンを中心とした有識者や有名人がコメント付きでニュースをピックアップしているので、より深い知見を得られることが可能となっています。そして忘れてはいけないのは、すでにプラットフォームを押さえているLINEが提供するLINE Newsです。やはりユーザー数は圧倒的で、いまのところもっともダウンロードされているアプリです。
能動的から受動的へ、ネットメディアのマス化
これらの流れを俯瞰してみると、検索という能動的な行動が少なくなる一方で、編集によって手もとのスマホに情報が届けられる、ある意味受動的な環境が整ってきていることが分かります。自分自身の好奇心や探究心で情報を取りにいくアーリーアダプター層から、様々な情報を消費して満足するレイトマジョリティ層へとネットメディアが浸透しはじめていることを示しています。
それとともに、新聞社やTV局などに独占されてきた一次情報のレポーティング機能についても、これらネットメディアが押さえつつある状況も垣間見えます。実際にNewsPicksでは、自前記事を書くための連載記事をスタートさせていますし、そのための記者も雇うようになってきています。
台頭するミレニアル世代と、胎動するマス
世界的に見ても、1980-2000年代生まれのミレニアル世代と呼ばれる層が、消費や流行における中心的な中間層になりつつあります。生まれた頃からデジタル製品が身の回りにあり、テレビや新聞といった従来メディアよりもネットやソーシャルメディアから情報を得ることが主流の世代です。現実に香港では、このミレニアル世代が中心となって民主化デモ活動が勃発するなど、世界において変革リーダーとなるような人たちも登場しはじめています。
第四の権力と言われるメディアに対して、インターネットを介した情報流通の存在感が大きくなってきています。そのことが何を意味するのか、もしかしたら近い将来には2014年の出来事が大きく記憶されるのかもしれませんね。
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