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チームラボ・ボーダレスに見る、日本の勝ち筋

麻布台ヒルズにオープンした、「EPSON TeamLab Borderless」に行ってきました。9割方のお客さんが外国人で、インバウンド観光客が何を求めて東京や日本に訪れるのかを考察してみました。

花鳥風月という日本文化の蓄積

こちらの展示では、主に鳥獣戯画のような動物たちの姿が自然のなかで躍動する姿が描かれていました。視覚、聴覚、そして嗅覚や触覚まで刺激する五感全体で体験する没入型デジタルミュージアムというコンセプトです。非言語的に体感できるのがポイントで、あらゆる国のあらゆる人々が直観的に美しく楽しめるのが醍醐味と言えるでしょう。

会場全体には高彩度LEDやプロジェクターによるメディアアートが展示されており、それらを巡りながらまるで水の中に入ったり宇宙空間に飛び出したりといった感覚が四方八方から押し寄せてきます。それは四季という色彩豊かな日本の風土を表現しており、花が咲いて蝶が舞い鳥がさえずり緑が繁るといった、私たちにとっては当たり前の、でも世界で見れば希少な自然の姿が豊かに感じられます。

人間の暮らしのすぐそばに自然の動植物があり、人間自身も生態系に組み込まれて多くの恵みを得てきた八百万的な日本人の価値観は、自然を制圧するものと考えてきた西洋から見れば奇異に映ることでしょう。しかし、生物多様性やSDGsといった西洋発の考え方を見聞きするにつけて、別に当たり前じゃないかと思ってしまうのは日本人の大多数でしょう。

都市ではなく地方にアルテミュージアムをつくった韓国

日本よりもLEDなどデジタル技術が進み、インバウンド観光客の誘致に積極的な韓国は、実はこのようなデジタルアートミュージアムを主に地方にたくさん建設しています。東海岸の江陵や南部の麗水、済州島などソウルではなく敢えて地方に立地することで、メディアアートと現実の自然環境が連動して楽しめる仕掛けになっており、海の表現を体感した後には実際に海産物を食べるといった観光誘客を地域経済に繋げる戦略が徹底されています。

都心部では敷地面積や天井高の制約が大きくなるため、この麻布台ヒルズでの展示でも鏡を多く使って視覚的には広く見えるようにしていました。一方で動線が入り組んでおり、前後感覚が分からずにどちらに進めば良いか混乱する感じも受けました。もしこのデジタルアートを前提にした建築設計ができれば、よりスムーズに体験できるものと考えられます。

外国人を悪者にしないインバウンドツーリズム

京都や一部の観光地では、外国人観光客が押し寄せて地域住民の暮らしを圧迫するオーバーツーリズムが問題になっています。日常の足である電車やバスに大きなトランクを持ち込み、私有地に立ち入りゴミを捨てていくような対立構図は、双方にとって不幸な印象を残すだけでしょう。

むしろ空港や鉄道駅など、交通結節点になるような場所にデジタルアートミュージアムを設置し、その地方の風土に合わせたコンテンツを表現して、望ましい周遊ルートに誘導していくようなマーケティング戦略が必要に感じます。とくに日本各地の観光地では、説明書きが多すぎます。お役所的な禁止事項だったり、名所の謂れだったり、とにかく文字表現でアレコレ貼り付けてあると視覚的に煩く感じてしまいます。

日本の強みはおもてなしだ、侘び寂びは引き算の美学だとか、偉そうに言うのであればそれをちゃんと表現して日本の良さをアピールしていってもらいたいですし、とくに地方においてはまだまだやれることがたくさんあると感じています。何百年も蓄積してきた先祖たちの文化をインスタントに消費して、無個性な街にしていってしまう前にちゃんと足元から理解していきたいものです。

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