グレタはわたしだ。
映画『天気の子』は、この出来事を予言していたのでしょうか?16歳の少女を人身御供として差し出せば、気候変動が解決すると大人たちは思ってはいけない。
国連気候行動サミットで演説した少女
グレタ・トゥーンベリーさんの訴えはたしかにひどく感情的で、自分を絶対的正義の側に置いた反発を招きかねない物言いです。環境原理主義者という謗りを受けるような内容であり、思春期に特有のピュアであるが故に大人たちを愚かに感じてしまう感覚でしょう。
それとともに、日本の子どもたちにこれほどの熱量を感じる機会が果たしてあるだろうか?とも思いました。協調性を是として周りの空気を読むことを学校で習ううちに、我々は牙を抜かれていってしまいます。偏差値が高くなればなるほど、大人たちが期待するような振る舞いをすることが正解となってしまう、そんな教育を受けてきたからでしょうか。
日本の気候変動対策の現状
日本はパリ協定の2030目標を愚直に履行しようとしている数少ない国です。温室効果ガスの排出量において、世界での日本の排出量割合は4%しかありません。このような大人の論理で言えばいくらでも反論可能だし、アクションしても効果は限定的かもしれません。でもわが国には気候変動だけではなく、年金問題や生態系保全、そして原発事故処理といった大人たちの都合を次世代に先送りしている様々な課題があります。
海外に目を向ければ、インドネシアは首都ジャカルタが水没危機で、カリマンタン島へと首都移転しようとしています。韓国では若い年代が大統領弾劾デモを行ない、政権交代を実現させています。香港は中国に呑み込まれるかの瀬戸際で、多くの若者が身を呈して自由を守ろうとしています。そんな熱量を感じたくて、各国を巡りました。
自分の初心を思い出した
思えば私自身が16歳くらいの頃は、気候変動の問題が大きく取り上げられるような時代でした。同年代にセヴァン・スズキさんという方が同じ国連の舞台で演説をして、それを受けて自分も何か環境に対して行動しなければ!と考えるようになりました。当時は環境学部がまだ存在せず、農学部に進んでその後に環境系の大学院に進学したのも、この影響があったからです。
『天気の子』では、大人の論理を諭していたおっさんが、最後は行動して主人公たちを守りました。素直にカッコイイと思いました。グレタを裏切るとかは関係なく、自分を裏切らない生き方をできているか、すべての大人たちに問われているのだと感じました。