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「2053年・シン日本沈没」企画書

キャッチコピー:

相次ぐ災害と戦争で国家と環境がせめぎ合う近未来。日本文化の価値を見直すロードムービー的フィクション。

あらすじ:

2053年、気候変動の影響で紛争は多発し、流動化する国際情勢。人口減少する日本は食糧とエネルギーの自給を目指すものの、行政機能は失われ大企業に担われる地方都市に人口が集中するようになる。そこに南海トラフ地震が発生し混乱に陥る日本列島に対して、ロシア軍閥がクーデターを仕掛け北海道が独立宣言を出す事態へと発展する。

日本海の要衝、佐渡島の海上保安庁基地に勤務する主人公は、北朝鮮からの飛翔体が来た日に青い目の少女と出逢う。脅かされる安全保障と、自分たちだけ生き残れば良いという企業城下町の地方都市。世界から見た日本の存在価値とは、日本人としてのアイデンティティを問いながら温故知新の近未来を冒険していく。

第1話のストーリー:

2050年にカーボンニュートラル=二酸化炭素排出量ゼロを目指した世界各国だが、相次ぐ局地的戦争や政治的分断によってその目標は反故にされ、結果として大気の平均気温は+4℃に上昇してしまう。とくに世界人口の半数が居住するユーラシア大陸南部では砂漠化が進行し、食糧や資源を求めて紛争や難民が多発する。

一方で人口減少と高齢化によって、日本の人口は1億人を割り込み高齢化率は40%を超えた。国内の農山村は荒れ果て森林に飲み込まれ、東京と一部地方都市に人口が集中するようになっている。この局地的に集中した高齢人口を支えるため、世界第6位の海洋面積を持つ日本は、多数の洋上風力発電と海上農業プラントを開発する。

とくに人口減少の激しかった日本海側はほぼ洋上風力発電に埋め尽くされ、無人の街には警備ロボットを乗せた自動運転EVが走る。各地方都市は自治体機能が消滅し企業城下町となり、格差が拡大している。徹底的に無人化され自動的にエネルギーと食糧が手に入るようになった地方都市は、世界に先駆けてベーシックインカム制を導入し、住民は遊んで暮らせるようになる。

この楽園のような日本に対して、政治的統制の執れなくなった中国やインドでは傭兵会社に端を発した軍閥が勃興し、また国家としての体がなくなった北朝鮮や東側に首都機能を遷したロシアからも軍事的圧力が高まる。内政問題で揺れるアメリカの軍事的支援は期待できず、人的被害を最低限にするため自衛隊は自動制御を基本としたロボット軍として実質的に機能するようになる。

2053年、日本海側の洋上浮力発電や海上農業プラントを警備する海上保安庁の基地が置かれた佐渡島に勤務するエンジニアリングオペレーター<主人公>は、代わり映えのしない各拠点の映像を監視しながらロボットに指示を送る毎日を送っていた。

ある日未明、朝鮮半島方面からの未確認飛翔体が確認され、夜中にバタバタとたたき起こされ緊急対応に当たった主人公、眠い目をこすりながら夜明けの日本海を眺めていると、潜水艇から出てくる青い目の少女を目撃する。慌てて逮捕しようとするも、丸腰で逆に少女に組み敷かれてしまう。

そこに南海トラフ地震が発生し、日本列島に大津波が押し寄せる…

第2話以降のストーリー:

南海トラフ地震の発生により、東京をはじめとした太平洋側の沿岸部は大津波による多大な被害を受ける。電力や食糧の供給インフラも寸断され、太平洋側から日本海側への避難民が押し寄せる事態に発展する。しかしゲートコミュニティと化した地方都市では、道路はロボット警備隊によって封鎖され暴徒と化した避難民と一部交戦状態に陥る等の混乱をみせる。

機能不全に見舞われる国家と地方自治体に対して、各地方都市を統制する企業は独自の動きを見せ始める。そんな中で北海道の人口の60%が住む札幌市が独立を宣言し、北海道西部の洋上風力発電と海上農業ファームの封鎖を始める。実は札幌市を運営する企業株式の過半数がロシア・中国によって買い占められ、有事に乗じて経済支配を実質的な領有権に転換する野心を露わにするのだった。

北海道独立宣言

佐渡島において、緊急地震速報とそれに伴うスクランブル発進に驚く主人公と少女、現場から逃走した少女を追いかけるも、主人公は任務に呼ばれてオペレーション室へ戻る。海上保安庁には各地方都市より応援要請が来ており、また日本海側でも国境地帯における侵犯行為や被害状況の確認が必要となっている。

そんな中、北海道から札幌市の独立宣言が出され、それに同調した海上自衛隊大湊地方隊による日本海の封鎖が行なわれ始める。実は担い手の少なくなった自衛隊には、一部海外からの傭兵会社に頼った運営が行なわれており、とくに艦船や警備の最前線では多国籍の傭兵隊員によって動かされていたのだ。それらが有事とともにクーデターを起こし、戦力の大半を掌握してしまうのだった。

日本海の洋上風力発電からの電力は北海道を経由してロシアへと送電され始め、海上農業ファームからの農作物も日本への流通が止められてしまう。実は気候変動によって居住適地が増加したシベリア地方は、局地戦の続くロシア西部から逃れてきた住民の人口増加が続いており、それとともに慢性的な食糧・エネルギー不足に陥っていた。

とくに2020年代に泥沼化したウクライナ紛争地帯では政情不安が続き、黒海沿岸部の権益が一掃されたことでロシアの重心は次第に東側へと移っていった。イルクーツクに実質的な首都機能が遷され、中国との結び付きを強める中で国家としての体制が維持できなくなった北朝鮮を併合、日本海に対しても多大な関心を持つようになったのだ。

青い目の少女

佐渡島で主人公が出会った青い目の少女、それはウクライナ出身の諜報員であり、ロシアの動向を探りつつ北朝鮮の状況を調べるために送り込まれたのだった。敵方に見つかり、すんでのところで北朝鮮の基地にあった潜水艇に乗り込んで東を目指し、佐渡島に流れ着いたのだった。

実は幼い頃にウクライナからの難民として日本で暮らした経験のある少女は、日本の食や伝統といった文化を愛する親日家でもあった。それは母国であるウクライナも同様であり、食糧やエネルギーといった資源を持つために他国からの侵略を受けることになった教訓を活かしたいと考えながら、現在の日本の混乱に対して力を貸したいと思うようになる。

オペレーション室に戻った主人公であったが、海上自衛隊という存在に対する対策マニュアルは存在せず、政治的事情から上からの指示は止まったまま待機を命じられる。行く当てもなく佐渡島内を走り、古い民家に立ち寄る。そこでは老婆が昔ながらの作り方でせんべいを焼いており、懐かしい気持ちとともにそれを味わっていると隣のテーブルにサングラスとマスク姿の不審人物を発見する。

声をかけると驚きつつサングラスを外すと、見覚えのある青い目の少女だった。潜入の経緯や目的を問い質そうとするも、それ以上の勢いでせんべいの美味しさ、それから日本の食文化の素晴らしさを熱弁され、この文化的価値を高めて世界に対して日本の存在を知らしめることこそが安全保障なのだ、という理論によってこの少女とともに日本各地の食文化を探索する旅に出るのだった…

日本各地の食文化探訪

・舞鶴
海上自衛隊の基地が置かれ、対大湊地方隊への最前線となった。日本海封鎖に関する情報収集および今後の方針について確かめるため、舞鶴に上陸した主人公と少女。そこで売られていたのは、水ようかんだった。季節は冬、雪もちらつく中で、いかにも涼し気な水ようかんと出逢い、その滑らかさに驚く2人。

・城崎温泉
温泉と芸術の里として観光で栄える城崎温泉では、豊富な温泉熱源から地熱エネルギーの開発が進んでいた。一方で有名だったカニは獲れなくなり、温泉水を活用したエビの養殖が行なわれていた。あまえび・がらえび・もさえび・おにえび・すじえび等の地エビ類の宝庫として、ここでしか味わえないグルメが数多く誕生している。

・米子
ラムサール条約に登録されていた中海であるが、海面上昇によって弓ヶ浜半島が消滅し、巨大な入り江となっていた。マグロなど回遊魚はまったく獲れなくなったが、豊富な鉄分を含む河川水が流入する広い入り江では藻場が再生し小魚が増え、イルカが遊びクジラまで見られるようになっている。

・呉
札幌市独立の動きに呼応して独自の動きを見せ始める広島市を探るべく、海上自衛隊の基地が立地する呉に潜入する2人。過去には戦艦大和などが建造された歴史のある都市であるが、広島市への人口流出が増え過疎化が進行している。山がちな地形からしばしば豪雨災害によるインフラの寸断に見舞われ、残った住民たちは瀬戸内海の海上交通を発達させることで四国との交易を活発化していた。海軍のお膝元で跋扈する海賊たちの生活は楽しそうである。

・大阪
2000年代より経済的な低迷が続き、また国際的に高騰する小麦価格の影響から粉もの文化が壊滅的打撃を受けていた。その現状を打破するために、日本海側からの米の流通を再開し、米粉による食文化再構築を図る大阪市は今回の有事に際していち早く流通を再開させる等の動きを見せていた。

・京都
壊滅的打撃を受けた東京に対して、首都機能を奪還する千載一遇の機会と捉えて天皇の疎開を要求する京都市。観光客に紛れて各国の諜報員が入り乱れる古都で、また新たな出逢いが…?

#週刊少年マガジン原作大賞 #企画書部門


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