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脱・器用貧乏宣言

2017年明けましたね。おめでとうございます。今年はついに40歳、世間的には不惑と呼ばれる年齢に突入します。とはいえ相変わらずのマイペースぶりは変わらないと思います。

2016年は様々なものを喪失した1年でした。中でも最も大きな存在だったのは、19年飼った愛猫チャイを亡くしたことです。ただ、もちろん悲しくはあったのですが、あまり後悔はなくこれまで一緒に過ごしてきた日々を振り返ることができました。

「器用だけど、不器用な人だね」

よく人から言われる言葉があります。「器用だけど、不器用な人だね」と。自分自身、コンセプトを決めるのが得意で、たとえば友達とごはんを食べに行こうという時にもその人の好みや出身などを総合的に勘案して、喜ばれるチョイスをするなんてことは割とできます。それと同様に仕事でも、様々な地方や企業に対して課題解決の提案をそれなりの精度でできるくらいには、プロジェクトや事業立上げを経験してきました。

この自分の強みとも言える器用さ、言い換えると想像力を働かせて相手や社会のニーズを汲み取る能力というのは、自分の生き方としては不器用なのではないかと薄々思っていました。そしてそのことズバリと指摘してくれるような旧知の友達なんかと話をする中で、徐々にライフスタイルを変えていくことを意識するようになりました。

相手の課題解決をスマートにできるのは良いけど、自分のやりたいことは何なのか?突き詰めるとこの問いに答えられずに30代後半は過ごしてきたように思えます。もちろん世界平和とか幸せになりたいとか、大正論の抽象的な目標ではなくて、ある程度具体的に自分の能力と時間を使って達成できる水準の目標とは何なのだろうか、と問い続けてきました。

やらないことを見切り続けて見えてきたもの

人生の折り返し地点とも言える40歳までに、自分のやりたいことを明確化するために、やらないことを棚卸して決めることにしました。酒・たばこ・ギャンブルは一時的には楽しいかもしれないけど、逆に中長期的ストレスが溜まるので自分の人生には必要ないと判断しました。冠婚葬祭で改まった席に出るのも性に合わないので、すべて断ることにして後から個別にフォローする方針にしました。不特定多数に社交辞令を送るのではなく、目の前で会っている人を大切にすることにしました。

仕事においても観光や人材育成といった単一課題解決プロジェクトには関わらず、複数分野や地方にまたがるイノベーションの仕掛けをつくるように意識的に動きました。中央は現場のことを知らない、田舎は遅れているといった意識分断的な相互マウンティングを敢えてぶっ壊すために悪役を買って出るようにしました。そうするとすごく気がラクになって、相手が納得する“それなりの提案”よりももっと本質的にこの社会を良くする方向に持っていこうという考え方にシフトしていきました。

17歳の自分に聞いてみたら、こう答える

20代から30代前半にかけては、早く成長しなければならない、実績を積み上げてもっと多くの人に認められなければならない、という自己顕示欲が強かったように思います。でもそれより前の自分は何を考えていたのか、改めて問い直してみると犬や猫といった動物たちを通じた豊かな社会をつくりたい、という夢を持っていたことを思い出しました。自分自身が犬猫に囲まれて育ち、大きな影響を受けたからこそそれが社会を良くする原動力となる確信を持っている、自分を形成してきた価値観に改めて気付きました。

自己顕示欲よりも、自分の能力や価値観を俯瞰した上でいかに社会の役に立てるかを考えるようになったのは、不惑と呼ばれる年齢のせいでしょうか。むしろこれまで囚われてきた、慣習であったり常識といった枠組みから距離を置いたことで、自分の生き方を規定する要素が内発的な動機に変化したと感じます。そして恐らく多様性の時代においては、人の数だけ生き方が存在します。その社会において率直に相手を認めて応援できるかどうかは、割とこの心のゆとりが大切だと改めて思うようになりました。

逃げるは恥だが役に立つ

大人気ドラマのタイトルですが、本来的には自分の勝負すべき土俵を決めろ(そのために撤退すべきところも決めろ)という意味らしいです。40年かかりましたが、何とかそんな状況が固まりつつあり、また多くの素晴らしい出会いもあって自分の思い描いてきた社会をつくるための実践活動ができる立場になりました。やらないことからは徹底的に逃げます。でもやることを決めたからにはキチンと向き合って逃げません。2017年は、そんな不惑の自分像をつくっていく1年になりそうです。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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