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昭和の“化石”をどう処理するのか、『罪の声』が問いかける

映画『罪の声』を観ました。小栗旬さん・星野源さんのダブル主演で、野木亜紀子さん脚本ということで楽しみにしていました。以下、ネタバレなしで感想を記します。

グリコ・森永事件という闇

この映画は1984年に発生したグリコ・森永事件をモチーフにしており、35年経って時効を迎えたこの事件の真相に対して小栗旬さん演じる新聞記者と、事件に声を使われた子どもだった星野源さん演じるテーラーが別々にアプローチしていきます。

1984年当時は私も小学生で、連日キツネ目の男などが報道されていたことを覚えています。スーパーなどでお菓子を買うのも、毒が入っているかもしれないと注意された記憶があります。恐らくは現在40代以上であれば何かしらの影響を受けた事件なのではないでしょうか。

結局、この事件は金の受け渡しが行なわれず、犯人は捕まらずに2000年に時効を迎えます。全国を揺るがせた未解決事件として、昭和を代表する大きな闇と言えるでしょう。そしてこの映画においては、公権力の腐敗とそれに対する反発としての学生運動、さらに過激派として先鋭化していく安保闘争といったイデオロギーについてフォーカスしていきます。

左右イデオロギーを総括できない日本人

東西冷戦構造が集結し、保守・リベラルといった区分けは30代以下にとってはあまり馴染みのない価値観になっています。しかし相変わらず、日本の政治体制はこの左右イデオロギーを引き摺っており、とくに団塊世代以上の人々は殊更この価値観の枠組みに囚われているように思います。

SNSを中心にこのイデオロギーを発露する傾向にあるのもこの高齢世代であり、安倍首相から菅首相に代わっても、また国民民主党が立憲民主党に合流しても、その根底にある対立構図は変わっていません。そして彼らにとって共通する価値観とは、この国の政治体制が多くの国民生活に影響を及ぼしており、為政者の意思決定が自らの人生に作用するという一種の期待感を持っているように思います。

一方で私のようなロスジェネ世代以下にとっては、左右イデオロギーは歴史上の化石のような対立軸であり、政治に期待する以前にまずは自らの生活や人生を成り立たせるのに一杯いっぱいである、というのが正直なところでしょう。為政者の意思決定が自らの人生に作用する実感がないからこそ、政治に対しても無関心ですしそこまでの権力が今の政治にあるとも考えていません。

昭和から時が止まった“化石”たち

このような反体制から過激派となり海外に逃亡した人々がいたことも、今ではほとんど忘れ去られています。よど号ハイジャック事件の容疑者たちは現在でも北朝鮮で軟禁に近い状況で暮らしており、ネットなどで日本の情報を得ることもままならないようです。令和においても未だにこのような昭和の時代を引き摺る境遇の人々がいます。

そこまでではないにしても、現在の高齢層の根底にはこの昭和時代のイデオロギーに基づいたメンタリティが根強いと感じます。未だに靖国神社への参拝の是非を問う政治家とマスコミ、中国や韓国との政治関係の悪化を嘆いて嫌悪感を露わにする高齢層に対して、気軽にK-POPや韓流ドラマを楽しんで観光に行く若年層は価値観の断絶があると言えるでしょう。

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にゃー
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1977年シアトル生まれ。地域イノベーション企業家。林業合コン、棚田deセグウェイ等の過疎地ビジネスを経て、行政トップの右腕、大学教員と産官学を経験。犬猫が地域に生き残る寛容な社会を目指すネコウヨです。

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