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「おこだわり」で才能を開花する人

松岡茉優さんの才能に驚愕したのは、以前にも書いた通りです。果たして、この才能はどのように開花していったのか、実はそのプロセスを垣間見える作品が存在しています。

松岡茉優・伊藤沙莉という天賦の女優

その「おこだわり」、私にもくれよ!』というテレビ番組は、2016年にテレビ東京で放映されました。現在はAmazonプライムビデオなどで観ることができます。松岡茉優さんが気になって見始めたのですが、もう1人伊藤沙莉さんという化け物も登場しているのです。

第1話から順番に見始めると、いきなり口論していたり、食べ物を粗末に扱っていたりと観る側としても気分が悪くなってくるのですが、それこそが彼女たちの策略にハマり始めていることに後になって気づきます。だいたい第4話辺りまでは同じようなトーンで流れ、第5話で人気俳優の斎藤工さんが登場すると、だんだん展開が動き始めます。

第6話で松岡茉優さんに大きな変化が起きて、その後は様々な大物ゲストが登場しつつ2人の若手女優が本物へと開眼していく流れを楽しむことができます。個人的には第9話がピークだと思っていて、その後の流れは蛇足に感じるのですが、とりあえず騙されたと思って連続して観てもらいたい作品です。

良い子は“どうでも”良い子

松岡茉優さんは、当初は正統派女優らしく良い子を演じており、番組に登場するゲストや視聴者に好かれようと無難なコメントに終始したり、番組の雰囲気を保とうと心がけます。それをブチ壊すように様々なトラブルや暴言を巻き起こすのが伊藤沙莉さんの役回りであり、いきなりゲストとキスして付き合ったり、交通事故に遭ったりと女優としてどうなのか?と思うような行動をしています。

最初は好感度や番組としての体裁を気にする松岡茉優さんと、奔放に見えて緻密な計算をしている伊藤沙莉さんの存在が交わり、いつしかその立場が逆転するようになります。そして怒涛の後半においては、自らの殻を破った松岡茉優さんの挑戦が始まり、最終的にはモーニング娘。のステージで踊るという幼い頃からの夢を果たします。

フェイク・ドキュメンタリーという枠

「この作品はフィクションです」という注釈が番組の前後で繰り返される通り、実はこの作品には脚本があり彼女たちは自らを役として演じています。松岡茉優というキャラクターを演じる松岡茉優、伊藤沙莉というキャラクターを演じる伊藤沙莉、その倒置された設定に気づくと俄然この作品が面白くなるという仕掛けです。

古くは矢沢永吉さんがYAZAWAという存在を演じている、アイドルは恋愛もしなければトイレにも行かないといったイメージがあります。そして同じテレビ東京においては『山田孝之の東京都北区赤羽』というフェイクドキュメンタリーがあります。つまり、俳優は何かを演じることが仕事であり、自らの存在に対しても世間から見られているイメージを演じている部分を少なからず持っています。

自分が世間から見られているイメージに対して、俳優として役柄に入り込むのは究極的な演技と言えるでしょう。それを笑いや感動に持っていくというのは、他人を演じているときに比べて非常に難しいのではないでしょうか。その意味において、『その「おこだわり」、私にもくれよ!』は未来の大女優が飛躍した作品として語り継がれることでしょう。

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わん!
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1977年シアトル生まれ。地域イノベーション企業家。林業合コン、棚田deセグウェイ等の過疎地ビジネスを経て、行政トップの右腕、大学教員と産官学を経験。犬猫が地域に生き残る寛容な社会を目指すネコウヨです。
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