汝の隣人を愛せるか
地域に足を運ぶと、隣の集落のあいつは、祖父の代でこんな嫌がらせを受けたんで憎たらしいんだよ!という話を聞くことがあります。そんなときは、なるべくその部分には触れないようにお互いに大人の対応をしていくというのが、個人レベルでも言われることでしょう。
ヘイトは人間の本能
『サピエンス全史』には、敵と味方を区別するために人間は噂話、とくにネガティブな話題を流布することを好み、それによって外部からの脅威からコミュニティを守る機能を果たしていました。それがホモサピエンスがネアンデルタール人に勝った理由だそうです。
『ファクトフルネス』には分断本能という我々の習性が出てきます。世界には豊かな国と貧しい国があって、その格差は広がっているという思い込みです。自分のよく知らない地域や国のことは、ひどく深刻かつ恐ろしい状況に想像しがちで、別の世界が広がっていると考えてしまうものです。
オワコンであるはずの左右イデオロギー
そもそも右翼・左翼という言葉は戦後日本において、ソビエト連邦や中華人民共和国の共産主義的な影響を抑えるために、CIAが予算を投じて右翼=国粋主義を煽ってきたという歴史があります。総理大臣にもなった岸信介や読売新聞創設者の正力松太郎、そして最後のフィクサーと言われる児玉誉士夫は、CIAエージェントとして自由党結成から保守合同、そして日米安保体制の成立までを主導していったことは様々な証言からも明らかとなっています。
ソビエト連邦が崩壊し、日本が共産主義に染まる現実的脅威がなくなった後も、なぜか左右のイデオロギーは保持されていきます。トランプ大統領などはもはや極東の軍備までアメリカ軍が負担するのはおかしいと考えており、日本と韓国を敵対させるよりも共同で中国や北朝鮮の対応に当たらせた方が良いと判断しても然るべきですが、いつの間にか右翼の標的は韓国になっているようです。
分断本能に基づくヘイトスピーチ
民族的にも近い韓国とどうして仲良くできないのでしょうか。さらには日本国内においても、戦後の左右イデオロギーを嫌韓という価値観に置き換えてヘイトスピーチを続けるネトウヨと呼ばれる層もいます。そして祖父・岸信介の悲願である憲法改正を推し進める安倍首相自身が、このネトウヨ的な価値観と親和性が高いということもあって、韓国側のヘイトスピーチも大きくなっている相互作用があります。
しかし、日本でも韓国でも普通に生活している層にとっては、あまり関係ないことというのが実感でしょう。私たちは日頃キムチを食べて、韓流ドラマを観て、K-POPを楽しむ日常が好きですし、それは韓国人にとっても同様でしょう。むしろヘイトスピーチをするほどにアドレナリンが出まくっているごく少数の人々に対して、別の楽しみ方を提供するのが各国の課題かもしれません。
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