デマ情報から正しい知識を得る
少し前に「肉の量を増やすために遺伝子操作された牛」というキャプション付きで以下の画像がTwitterなどで拡散されていました(拡散したTwitterユーザはすでにアカウントが存在せず)。
この牛はBelgian Blueと呼ばれるベルギー原産の短角牛で、19世紀に生まれた突然変異の牛から品種改良を重ねてこの筋肉隆々の姿になったそうです。遺伝子操作をされているというわけではなく、ミオスタチンという骨格筋の成長を制御するタンパク質が機能しない形質を選択的に品種化していった結果です。
遺伝子組み換え動物の現在
遺伝子組み換え生物については、トウモロコシや大豆など植物は商品化され、海外ではすでに出回っていることが知られています。一方で動物についてはアメリカでも慎重に取り扱われています。最近では遺伝子組み換えによって2倍の早さで大きくなる鮭がFDAによって認可され、養殖施設に限って商品化が進められています。
そして国際的には、カルタヘナ議定書によってこれら遺伝子組み換え生物の自然環境への拡散は禁止されており、日本やEU諸国では輸出入が厳格に管理されています(アメリカは未加入)。とはいえ我が国では油脂原料や飼料としてトウモロコシや大豆を間接的に大量輸入しており、それらについては遺伝子組み換え利用の表示義務はありません。
感情を煽るような表現を疑う
このようにざっと10分ほど調べただけで、遺伝子組み換え生物を取り巻く現状のリサーチは可能なのですが、ソーシャルメディア上ではどうしても感情で動かされることが多いです。スマホで気軽にシェアできてしまうので、扇情的な表現によって瞬く間に広がるケースは枚挙に暇がありません。
都議がセクハラ野次を受けたといった話が号泣する県議によって話題を奪われたように、ネット上で消費される情報は陳腐化も早く、それによって得られる知識というのは実はさほど多くありません。
二番目の情報をいかに入手するか
セクハラ野次や政務調査費の不正利用がけしからん、と憤慨するのは正しいですが、その正義感は自分の中でどこに着地させれば良いのでしょうか?自分の住む地域の地方議会の規定やチェック機構がどのようになっているのかをリサーチしたり、都道府県議会でのリコール事例を調べたりということはすぐに可能です。
そして具体的なアクションとして自分は何ができるかを考えることが1人の大人としての責任ある態度であると言えますし、振り上げた拳の最も建設的な使い道だと思うのです。そしてそのような癖を身に着けることで、脊髄反射で情報を処理するのではなく因果関係や周辺情報をリサーチするようになりますし、知識も広範に身に付きます。
遺伝子操作された牛がとんでもない!と思うのであれば、遺伝子組み換えの現状をリサーチしつつ食品メーカーに問い合わせてみればよいですし、政治家の言動が気に入らないのであれば自分の住む選挙区の政治家にコンタクトをとってみましょう。他でもないあなた自身が変わらなければ、世の中は良くならないのです。
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