あなたは私を特別にする存在
芸能界で訃報が相次いでいます。大手事務所でのトラブルだったり、コロナ禍における状況変化もあるのかもしれません。日本以上に競争の厳しい韓国の芸能界において、頂点に立つTWICEも様々なトラブルを抱え、乗り越えてきた経緯があります。彼女たちの代表曲である『Feel Special』には、その葛藤とそれでも敬意を持ってお互いを尊重する覚悟が感じられる、想いが込められています。
日中韓の政治問題を背負わされる
TWICEは結成から政治的背景に翻弄されました。6MIXというグループでのデビューが決まっていたナヨン・ジヒョ・ジョンヨンですが、セウォル号沈没事故が発生しデビューは白紙撤回となります。SIXTEENというオーディション番組に再度挑戦することになり、そこからTWICEが結成されたことは周知のことですね。
TWICEとしてデビュー後も、出身国台湾の旗をテレビで振ったことから中国からのクレームが入り、当時16歳のツウィが謝罪させられるという事件がありました。TWICEは現在も中国本土での公演を実現できていません。またサナが平成から令和への元号変更の想いをInstagramに記したところ、ヘイトコメントが殺到して削除に追い込まれるといった事件も最近はありました。
苦悩や葛藤をパフォーマンスに昇華するプロ意識
実際にミナは不安障害と診断され、昨年から一時活動を休止していました。昨年後半の公演は8人でのパフォーマンスで行なうことになり、しかしミナのスペースはしっかり空けるというようなメンバーたちの固い結束を表現していました。
これらの想いはFeel Specialの歌詞やMVにも反映されています。JYPの社長でありプロデューサーであるJ.Y.Park氏が、TWICEメンバーとじっくり話し合ってこの曲のメロディと歌詞を仕上げたものです。この流れを知ってMVを見直すと、批難に対してもお互いへの敬意を失わず、『Feel Special』という素晴らしいパフォーマンスに昇華されていることに感動します。
この想いは後輩であるNizi Projectにも影響を与え、この番組で最も美しいパフォーマンスの1つとして表現されるまでになりました。
『Feel Special』のMVに込められた深い意味
冒頭、チェヨン・ツウィ・モモ・サナ・ナヨン・ミナとそれぞれのメンバーが一人ずつ歌う様子が映し出されます。セカンドパートからはチェヨンとミナ、モモとツウィ、サナとダヒョン、そして孤独なジョンヨンとみんなと楽しく話すジョンヨン自身というそれぞれが出会う光景が表現されています。(YouTubeで該当シーンから表示)
そんな日がある ひとりぼっち感じる日 どこにも居場所がないみたいで 下向いちゃう日 その度いつもどれくらい 大事か言ってくる 君の一言
Everything’s alright 冴えない Nobody 変わるの Somebody 特別になる
サビの部分では、まさにヘイトや様々な政治的意図を背負わされたとしても、お互いの絆の強さや相手への敬意を忘れずに気高く生きようとする彼女たちの意志を感じさせる内容となっています。これまでのアイドル然とした操り人形のような存在から、大人の女性へとモデルチェンジしたようなカッコよさが感じ取れます。
You make me feel special 世界が 私倒しても 痛い言葉 胸刺しても
君がいれば笑う That’s what you do
そしてBメロにおいては、ONCE(TWICEのファン)に向けたメッセージも込められています。テレビを見ているジヒョと、向こう側で踊るナヨンが画面を通じて笑顔を向け合うシーンがそれを象徴しています。TWICEのファンサービスの熱心さは有名であり、そのファンたちの存在が自分たちを支えているのだと明示しているのです。
Again I feel special 意味のない存在でも 消えそうな存在でも
君の声がすれば I feel loved, I feel so special
また日本の紅白にも出てほしい
誰もが気軽に情報発信できる時代、剥き出しの悪意や嘘がときには刃のように人を傷つけことがあります。有名人になれば、その数は計り知れないでしょう。自分自身が果たして他者を偉そうに批判し、糾弾できるほどに立派な生活を送っているのか、胸に手を当ててみて考えてみてください。何も成し遂げてない人ほど、安易に他者を攻撃しがちな気がします。
とくに悪化する日韓関係の影響を受けて、韓国のグループだからと頭から決めつけてヘイトなコメントを書くような人々も一定数存在します。しかし、それ以上に多くのファンがTWICEを応援し、そのパフォーマンスを支持していることは事実です。NHK紅白歌合戦にも2017年から3年連続で参加しており、是非ともこの年末も9人で元気な姿を見せてもらいたいですね。