ローカルキャリアという選択
『ローカルキャリア白書』が手許に送られてきました。何を隠そう、この白書には私も“ローカルキャリアの実践者”として掲載されております。
ローカルキャリアとは何か
一昔前は地方で働くことは都落ち、東京や都市部でバリバリ働くことがキャリアアップなのだという風潮が支配的でした。しかし、東日本大震災を契機に東京一極集中の脆弱性が明らかとなり、また被災地復興や地域活性化といったプロジェクトに参画することが、経済成長が鈍化した一般企業での事務仕事よりもキャリア形成に繋がるのではないかと考えています。
実際に私も立上げに携わった「Work for 東北」という復興庁・日本財団事業で、都市部のビジネスパーソンを東北被災地に派遣するマッチングを実施しました。そこで派遣人材側と受入れ地域側の双方において大きな成果があったとして、この取組みが全国に拡大して一般社団法人地域・人材共創機構(通称CAREER FOR)が設立され、ローカルキャリアという取組みが広がっています。
ローカルキャリアで得られること
ローカルキャリアと一言で言っても、その人物像や取組みは多岐に渡ります。起業家として地域資源を活用したビジネスを立ち上げる人も、行政職員として復興や地域活性化の面的支援を行なう人も、はたまたアートや教育・福祉事業と仕事を両立する人など、多様なライフスタイルを実現しているのが特徴的です。
かくなる私も地方大学教員として後進の指導に当たり若者たちの感性や行動力に刺激を受けつつも、様々なローカルプロジェクトの0⇒1の部分に首を突っ込んで、これまで培ってきた都市部のネットワークや下流側の企業と結び付けることで、地域の未利用資源を活用したマネタイズを図るといった役割を担うようになりました。
そう、複業や働き方改革といった文脈においても、地方では当たり前に地域社会において様々な役割を担い、自治会や消防団、PTA、檀家といったコミュニティ毎の仕事が存在しています。都市部ではそれらを分断し、単機能化した上で経済活動に乗せていくことが合理的だったわけですが、平常時においては金銭で解決できる機能外部化が、いざ困ったときには全く当てにすることができない、というのが都市で働く人々の不安やジレンマだったりします。
キャリアアップという幻想
そもそもキャリアアップとは、1つの組織で役職が上がり給与が高くなるという、終身雇用制度を前提とした考え方です。そこには男女の機会格差であったり、官僚や大企業の天下りという身分制度、若者とシニア世代の経済格差といった昭和の仕組みが温存されるが故のダイバーシティにそぐわない組織が閉塞感として内包されています。
平成から令和に移り、その昭和の仕組みの解体が待ったなしで進む中で、旧来の構造にぶら下がり続けることが果たして最適解なのか?と言えば、ノーというのが正直な状況でしょう。それよりも複線的なキャリアを歩むことで、変化に対する対応力や結婚・育児・介護・相続といったライフスタイルが変わる毎の柔軟な働き方といったレジリエンスが期待できます。
ローカルキャリア白書を読もう
ここまで読んでいただいた方は、少なからずローカルキャリアに興味を持っていただいたのではないでしょうか。是非とも『ローカルキャリア白書』をお読みいただき、ローカルキャリア実践者たちのやり甲斐やスキル面での成長といった質的変容から、働き方や収入の実態といった生々しいところまでご参照ください。以下のリンクからはオンライン無料版も公開しておりますので、アクセスしてみてください。
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