地方就職における「若者がしたい仕事」問題
地方には雇用の受け皿がない、地方には魅力的な仕事がない、、若者の流出に悩む地方においては呪文のように繰り返される言葉です。
その裏には、若者は都市部に流出するのが当たり前という考えがあり、また都市部で大企業やステータスの高い仕事に就くのが勝ち組で地方就職は夢破れた都落ちの負け組が選ぶものという価値観が依然として支配的な印象を持っています。
地方には仕事がない、というウソ
ハローワークなどでの有効求人倍率には受理地と就業地の2種類があります。つまり、本社が東京にある企業だと受理地として東京の有効求人倍率にカウントされますが、実際の就業地としては地方であるケースは意外と多くなっています。
以下は過去10年の就業地別の有効求人倍率の推移で、東京都よりも三重県の方が求人倍率が高くなっています。
東京都 1.21⇒0.85⇒0.65⇒0.82⇒1.00⇒1.18⇒1.27⇒1.45⇒1.55⇒1.64
三重県 1.72⇒0.82⇒0.83⇒1.01⇒1.08⇒1.48⇒1.59⇒1.70⇒1.85⇒2.09
もし地方から「東京にしか仕事がない」というファンタジーを信じて出て行っても、東京の限られた「若者がしたい仕事」を都内に実家が在ったり東京の大学に通っていた相手と奪い合うことになり、もしかしたら年収200-300万円程度の非正規雇用に甘んじる確率が高いです。
「若者がしたい仕事」は創造できる
それでも、地方では若者が魅力的に感じる仕事なんてないのでは?という反論もあることでしょう。
たとえば清掃員や工場労働者のように、単純労働で時間を切り売りするイメージがあります。定時には帰れるかもしれませんが、そこで何か特別なスキルが手に入るわけでもなく、何十年もずっと同じようなことを繰り返すのだと想像すると決して魅力的には映りません。
しかし、清掃員でもクリエイティブにできる工夫の余地はあります。たとえばディズニーやUSJの清掃員は、ただ場所をキレイにする役割を担っているわけではありません。エンターテイナーとして、掃除道具を使ってゲストを楽しませるといった主体的な取組みを通じて、単調な仕事に対するクリエイティビティを創出しています。
地方就職はフロンティアへ
どんな仕事であろうと貴賤はなく、また地理的な要因によって上下があるわけでもありません。むしろ、自らの創造性を発揮する余白や先鋭化した課題といった、手触り感のある仕事は地方こそが舞台となることでしょう。都市部において大きな仕組みの中の、スライスされた小さな仕事はなかなかその効果まで自分の目でしっかりと見ることはできません。
むしろ、地方において対象となる顧客や消費者のフィードバックを得ながら、自らの創造性を高めていくような働き方ができる時代になってきていると言えるのではないでしょうか。
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