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非武装地帯(DMZ)から北朝鮮を見た

週末に韓国に行ってきました。現場・現実・現在の三現主義を大事にする立場として、今の朝鮮半島情勢と韓国で高まっている反日感情という状況を見極めたいという想いが半分と、単にウォン安で航空券も安くなっており週末旅行気分で行けるというのが半分の物見遊山です。

北朝鮮を一望できるDMZの展望台

DMZはソウルの北30kmほどのところにあり、バスや鉄道で日帰り可能です。ニュースでよく見る板門店を含むエリアがもっとも整備されており、軍事境界線から南北4kmずつの計8kmと、韓国側は6kmの民間人立入制限区域を設けています。DMZ内は非武装が前提ですが軍隊が駐留しており、主に朝鮮戦争時に埋設された地雷除去をメインの仕事としています。

今回はソウル市内からの半日バスツアーに参加したのですが、外国人でもパスポートを見せれば検問所を通ってDMZ内にある展望台まで行くことが可能です。北朝鮮と融和的な政策を執る文在寅政権となり、このDMZも一大観光スポットとして再開発が進んでいます。展望台もリニューアルされて、お土産物やカフェまで設置されていました。

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軍事境界線付近には韓国と北朝鮮の双方の旗が立っており、朴槿恵政権のときには相互にスピーカーを設置して宣伝放送をし合う等賑やかな様子だったそうです。北朝鮮の山々は燃料不足なのか国境付近で監視のために伐採しているのかはよく分かりませんがはげ山となっており、望遠鏡を覗くと畑を耕したり自転車に乗る北朝鮮国民も見ることができました。

北朝鮮はトンネルを掘っていた

DMZでもっとも衝撃的だったのは、北朝鮮が侵攻用トンネルを掘っていて、それを韓国側では観光資源として活用しているところでした。トンネルは上下左右それぞれ約2mの幅で人間2人が通れる程度です。このトンネルは北朝鮮から韓国に亡命した元技術者の証言から明らかとなり、現在のところ4本が発見されているとのことです。

トンネル内部は非公開となっているのですが、観光客はヘルメットを被って入坑可能です。300mほど地下通路を進むと薄暗いトンネルへと達し、硬い花崗岩を5kmほども手で掘ったような跡を見ることができます。このような作業に長期間従事した人々の気持ちはどうだったのか、トンネル内にいるだけで息が詰まるような状況で想像してしまいました。

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兵役によって中央集権を維持する韓国社会

軍事境界線には当然、鉄条網が敷設されており監視小屋には警備兵が立っています。この警備兵は割と若い人という印象で、聞けば韓国の兵役はみんな20代前半で行く人が多いとのことでした。韓国の兵役は28ヶ月(18ヶ月に短縮予定)に及び、大半の男性は大学生の間に約2年半休学して兵役に行くそうです。そうしなければ就職すらできず、つまり男性の新卒年齢が実質的に25歳となっているようです。

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儒教国家であり、このような兵役によって上意下達な命令系統を仕込まれるためか、韓国社会は年功序列型で中央集権的な組織が多いといいます。大統領が代わると各企業の人事も代わり、それによって経済情勢まで変化するといった、責任の所在を不明確にする日本とはまた違った社会なのだそうです。

南南葛藤と呼ばれる、対北朝鮮への対応を基盤とした保守派と進歩派の対立は韓国内の政治情勢や、日本やアメリカに対する国際的立場を左右する大きな分断となっています。これらの詳細については、韓国に行く前に読んだNHK前ソウル支局長の書いた本に書かれています。

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果たして韓国では反日感情が高まっているのか

このようなDMZやソウル市内に数日間滞在してみて、韓国ではとくに日本人に対する反感であったり反日デモのような光景には一切遭遇しませんでした。むしろもっとも目にするコンビニはセブンイレブンであり、日本食レストランは繁盛していてそこかしこに日本語の案内や看板も目にするといった、親日感が溢れているという印象を持ちました。

思うに、韓国人も日本人と同様に政治に対しては大多数は無関心であり、いくら政治的に日韓関係が冷え込もうが経済や生活における結びつきはすでに強固なものとなっている以上、そこに好き嫌いの感情が入り込むことはないということでしょうか。百聞は一見に如かず、今こそ韓国に行く良いタイミングだと思いますので、DMZ含めて体験してみてはいかがでしょうか。


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