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猫の本棚

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#コラム

日本史の空白地帯・卑弥呼と邪馬台国

弥生時代は紀元前10世紀〜紀元3世紀の約1,300年ほどと言われており、稲作を中心とした農耕生活と、それに伴う身分階級制度が確立した年代と言われています。そこに登場したのが卑弥呼であり、魏志倭人伝という中国の歴史書に邪馬台国(邪馬臺国)の記載が見られました。 歴史的に有名も、何も分かっていない邪馬台国と卑弥呼は、日本史の教科書に必ず登場し、有名ですがその実態はほとんど分かっていません。それもそのはず、魏志倭人伝に残された数千字の記載のみがその存在を伝えているわけで、日本史に

『冒険の書』が見つからない大人たちへ

孫泰蔵さんの新著『冒険の書 AI時代のアンラーニング』を読みました。ChatGPTが普及し始める等、AIの浸透が始まっている現在、知識の詰込みやテクニックに偏重した受験などの教育・キャリア形成が根底から覆されるものと予測されています。そんなシンギュラリティの世界で人間は何を目指していけば良いのか、これまでの哲学者や科学者たちが構築してきた教育システムの歴史を紐解きながら一緒に考えていく内容です。 現代社会に埋めこまれる、メリトクラシーの罠現在の日本は良い学校に進学し、良い会

店の語源は「見せ」、製造工程を見せることが信用に繋がった

宮本常一著『イザベラ・バードの旅『日本奥地紀行』を読む』のご紹介です。『日本奥地紀行』は面白いですが読むには難解な部分もあるため、民俗学者・宮本常一さんの視点で解説してもらえると解像度が格段に上がって、明治時代になったばかりの日本の姿が浮かび上がってきます。 男性が子育てにコミットする地域社会私は、これほど自分の子どもをかわいがる人々を見たことがない。子どもを抱いたり、背負ったり、歩くときは手をとり、子どもの遊戯をじっと見ていたり、参加したり、いつも新しい玩具をくれてやり、

応仁の乱の勝者とは誰か

ゴールデンウィークはひたすら来るべき乱世に向けて、歴史から学ぶべく読書をしていました。そして、乱世と言えばこの本を取り上げないわけにはいきません。 曖昧な東軍と西軍の境界応仁の乱は、1467年から京都を中心に11年も続いた大乱です。よく、京都の人が「先の戦争で~」と言うときは応仁の乱のことを指すといった笑い話がありますが、実際に京都市中が戦場となったのは後にも先にもこの応仁の乱だけでしょう。細川勝元を中心とした東軍と山名宗全を中心とした西軍が、畠山氏や斯波氏の内紛や将軍家の

真田幸村という武将は存在しない

真田幸村と言えば、豊臣家に最期まで仕えた悲運の武将として人気です。しかし、厳密にいえば幸村という名を使った事実はなくて、真田信繁という正式名があります。父・昌幸とともに、徳川家を苦しめた真田家の武勇はいかにして伝えられてきたのでしょうか。 ほとんど上方住まいだった真田信繁信繁が誕生したのは、1567年から1570年と言われています。初陣は1585年の第一次上田合戦とも、1589年の小田原征伐とも言われています。この辺りの幼少期は資料が乏しいために明らかになっておらず、幼い頃